高精度印刷技術で顧客の高い要求に応える
(株)佐久印刷所は、1903年創業の総合印刷会社です。書籍・パンフレットなどの商業印刷のほか、納品書・請求書などの業務用印刷、HPやのぼり旗・看板製作への協力など、顧客の情報発信をさまざまな形で支援する業務を行っています。
また、「顧客満足度の向上」を経営方針に掲げ、パンフレットやチラシの印刷から、封入、発送までを一貫して請け負うなど、きめ細かなサービスを提供することで多くの顧客を獲得しています。
高画質を実現する高精細印刷技術
同社のイチ押しは、「高精細印刷技術」です。印刷物は、色の濃淡を表現する網状の点(網点)の集まりで表現されており、1インチ(2.54cm)幅にいくつ網点があるかで印刷物の画質が変わってきます。1インチ幅に並ぶ網点の数は「線数」と表現され、線数が大きいほど印刷物の精細度が上がります。商業印刷において一般的な印刷技術である「AMスクリーニング」では、1インチの幅に点が175個入るAM175線が一般的ですが、同社は10年以上前から高精細印刷技術の向上に注力しており、現在ではAM300線やAM400線の印刷を主力としています。
同社が得意とするAM400線の印刷。カラー印刷では主流なAM175線の印刷と比べ、細部の表現性が良くなり美しい仕上がりとなります
絵本を含む児童書の受注が増加
高精細印刷が特に効果を発揮するのが、写真集や画集、絵本などです。中でも子供の五感を刺激する絵本は、作家や編集者のイラストに対する要求水準が高く、同社は高い印刷技術を生かしながら細かな要望に対応してきました。さらに、2020年には印刷物の不良を検出する自動検査装置を導入し、印刷工程で発生するわずかな汚れも検出できる体制を整えました。
こうした取り組みで顧客の信頼を獲得し、絵本を含む児童書の新規受注件数は順調に増加しています。また、高品質なカタログやパンフレットが必要となる高級ホテルやブライダル関連の需要も取り込んでおり、今後も顧客との信頼関係を築きつつ受注を伸ばしていきたい意向です。
環境負荷低減にも貢献
同社は、リサイクルの推進や廃棄物の削減など環境に配慮した活動にも積極的に取り組んできました。こうした取り組みが評価され、21年には「環境推進工場」に認定されました。これは、全日本印刷工業組合連合会が運営する制度で、環境配慮基準(廃棄物の適正管理、省エネの推進、資材のグリーン購入など)を一定水準以上達成した中小印刷事業所が認定され、登録されるものです。同社は、顧客の環境負荷低減にも大きく貢献しています。
「印刷業は、チラシの印刷などでさまざまな業種と関われるのが強み。今後も120年蓄積してきた印刷技術やデザイン技術をさらに磨き上げながら、地域の情報発信のプラットフォームのような存在になっていき、地域の発展に貢献していきたい」と臼田大介常務取締役は語ってくれました。
高精細印刷技術と補正技術を用いた絵本は、細部まで精緻な仕上がりとなっています
産業調査
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