精密さと高い強度で大切な製品を守るオーダーメイドの輸送用木箱

　1947（昭和22）年創業の大岳キャビネット工業（有）は国内外のさまざまなな物流で利用される木製パレットや輸送用木箱などを製造する木工業者です。戦後の復興期には、家具や格納箱などの木製品のほか、扉・障子などの建具を製造してきました。その後は学校や企業で使用するテーブルやカウンター等の大型木製品、医療用器具収納のキャビネット（箱型収納家具）など、多種多様な木製品を手掛けてきました。
　現在は、売り上げの８割近くを特殊な木製パレットや輸送用木箱など工業用の製品が占めています。 

輸送中の衝撃から大切な製品を守る輸送用木箱

　イチ押しは、精密な加工と高い強度がある輸送用木箱です。これは、一定以上の大きさや重量のある製品を輸出する際、輸送中の衝撃から大切な製品を守るためのオーダーメイドの木箱です。木箱の内部は、製品を固定するために複雑な形状の加工が求められるほか、長さが２mにも及ぶ大きなサイズの注文が入ることもあります。当社はこうした厳しい要求に応えられる数少ない木工業者です。
　大型プリンター等の製品、金融機関向けのATMや航空機のパーツ、工業用モーター等を製造する精密機械メーカーや物流資材を取り扱う商社、医療機器メーカーのほか、県外の企業からも安定した受注があります。

 

製品や部品を格納できる大小さまざまな輸送用の木箱。形状が複雑な特注品も多い
 

大小さまざまな加工が可能な設備と技術力が強み

　これまで、さまざまな木製品を製造する中で、設備を充実させるとともにノウハウを蓄積してきました。設備は、あらゆる木工製品の製造に必要な機械をほぼ整えています。特にNC加工機を３台保有しており、複雑で精密な加工が必要な特注品から量産品まで対応が可能です。こうした設備に、積み上げてきた技術力とノウハウを合わせることで、品質、納期、コストなど顧客の要求に応えています。
 

（株）吉本の木材調達ルートも強みに

　当社は、2019年に山林経営と地元産カラマツなどの製材を中核事業とする（株）吉本（南佐久郡佐久穂町）のグループ企業となりました。同社は全国に社有林を所有し、長野県内はもちろん、群馬、岩手両県にも原木から製材まで一貫生産できる拠点を持つほか、自社以外の木材についても全国から調達できるルートを持っています。
　近年は公共事業等に地元産木材を活用する動きも増え、地元産カラマツを材料に指定されたベンチや書棚等を受注した際は、同社が生産した木材を使用しています。また、県内では調達しにくい樹種の材料を指定されることも増えており、同社の全国に広がる調達ルートを活用できることが強みになっています。
　「今後も工業用の需要に対応しつつ、（株）吉本の持つ調達ルートも強みに新しい用途も開拓していきたい」と、由井正宏社長は展望を語ってくれました。

 

　３台のNC加工機で特注品から量産品まで対応している
 

 
 

  大岳キャビネット工業有限会社