等級基準の概要と活用のポイント <2022.7.11>

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最終更新日: 2022年7月11日

 会社が等級制度を策定する場合、制度の骨格となる「等級基準」を定めます。「等級基準」とは会社が各等級ごとに、社員に求める「期待像」を示したものです。以下に、「等級基準」の概要とその活用におけるポイントを説明します。

等級基準で会社の期待像を明確にする

 等級基準とは、等級制度を策定するに当たり、各等級に対して会社が社員に求めるもの、すなわち「期待像」を明記したものになります。会社が社員に求めるものには、「能力(=職務遂行能力)」、「職務(=仕事)」、「役割(=ミッション)」などがあります。

 これらの内容を具体的に示した等級基準を作成することで、社員はそれぞれの等級に何が求められているのか、また、上位の等級に上がるためにはどういった能力、職務、役割などが必要になるのかが明確に分かります。

 部門が多岐にわたる会社の場合には、部門別に役割や能力などを示すことが有効です。図表は等級基準の例を示したものです。各等級の等級基準を記載するとともに、部門ごとに求められる能力、職務、役割などを記載します。これらを明示することで、社員は自らに必要な能力、職務、役割などを、より具体的に理解することができます。

      

  能力開発・人材配置・人事評価に活用する

 次に、等級基準の活用のポイントを整理します。

(1)能力開発への活用

 等級基準は、個々の社員の能力開発やキャリアビジョンを示す有効なツールにもなります。等級基準の内容を確認し、不足している点や改善しなければならない点があれば、社員自らそれを埋める努力をすることで能力の開発に役立ちます。また、上位の等級に必要な要素も確認できるので、昇格への動機付けにもなります。

(2)適正な人材配置への活用

 自社における現状の部門ごとの人材について、等級基準に照らして、各社員が本当にその能力、職務、役割などを最大限に発揮できるような配置になっているかを判断する材料として活用できます。等級基準を踏まえた適正な人材配置を行うことで、社員に対して最も活躍できる働き方や場所が提供できるため、社員の納得感も高まります。

(3)人事評価への活用

 等級基準の記載内容は、会社の期待水準であるとともに、評価の基準にもなります。評価者は各等級の期待水準を確認しながら評価を行います。つまり、等級基準を物差しとして評価を行うことになるので、偏りがなくなり適正な評価につながります。また、被評価者も自らが属する等級に求められる能力、職務、役割などが分かりますので、目標設定時の目標達成の難易度を判断するうえでも活用できます。

 以上のポイントを踏まえて等級基準を有効に活用すると、社員の能力開発、適正な人材配置、人事評価の適正化につながります。

 当研究所では人事制度構築などのご支援を行っております。お気軽にご相談ください。   

 (上席コンサルタント 鎌倉 勇)

 

 

 

 

 

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