市街地の空き家リノベーション~街の賑わい創出に向けて~<2022・07・8>

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最終更新日: 2022年7月8日

増加する創業・開業に向けたリノベーション

 古い建物の価値を生かし、現代のデザインに再構築して建物の魅力を高めるリノベーションが増えています。近年は、移住者や地域住民が創業・開業を目指すリノベーションが多く、街に新たな人の流れをつくり出し、賑わい創出の可能性を秘めています。県内の2つの事例を紹介します。
 

西鶴賀町のエリアリノベーション(長野市)

 2018年12月、(株)まちづくり長野が設立した「長野市中心市街地活性化協議会」と(公社)長野県建築士会ながの支部(以下、建築士会という)が連携し「西鶴賀町エリアリノベーション」事業が始まりました。エリアリノベーションとは、個々の建物の「リノベーション」をまちレベルまで広げて街並み全体の魅力向上につなげようという考え方です。対象となった西鶴賀町は、長野電鉄権堂駅の近くにあり、町の中央を東西に貫く西鶴賀通りは道幅が5〜6m、2階建ての建物が建ち並ぶ町歩きに適した通りで、現在では珍しい長屋形態の建物(9軒長屋)が残っています。
 この事業では、まず街の「お宝」を探し出すまち歩きワークショップ(以下、WSといいます)を開催しました。WSには100人超の人が参加し、「昭和レトロな風情」、「人が回遊できる路地・小路」などが「お宝」として挙げられたほか、日中も賑わう街にしたいとの意見も出されました。また、参加者のグループから空き家のリノベーション案やまちの未来像について提案がなされました。
 さらに、建築士会メンバーとウェブ制作会社が、入居やリノベーションに関する相談所を9軒長屋に開設しました。こうした取り組みの効果もあり、現在7軒の入居が決まっています。6月にはまち歩きイベントが開催され、西鶴賀通りから狭い小路を通り抜け回遊する人も多くみられました。賑わいが戻り始めた様子をみて、相談所に他の空き家活用の相談も入り始めたそうです。
 
 

 

旧北国街道を中心としたリノベーション(小諸市)

 小諸市では19年に、街が寂れていくことに危機感を持った若者たちが、市街地を若者が出掛けたくなる街中に生まれ変わらせようと、任意団体「おしゃれ田舎プロジェクト」を立ち上げました。メンバーは市職員のほか、リノベーション事業者、ケーブルテレビのキャスター、移住・開業経験者などです。上下関係のないフラットな組織で、メンバーの出来る範囲で無理なく活動しています。
 具体的な活動の1つが、20年1月に東京の有楽町で開催した「おしゃれ田舎プロジェクト説明会」です。このセミナーを通じて具体的な相談が寄せられ、移住や創業希望者が増え始めました。また、メンバーの市職員は市街地にあるリノベーション可能な物件について所有者と交渉し、移住・創業希望者に紹介できる物件を増やし、具体的な照会があればイメージに合う不動産を紹介、見学のセッティング、同行、仲介も行いました。リノベーションの相談にはこのプロジェクトのメンバーやパートナーシップ連携協定を締結している企業などを紹介しました。さらに、個別の開店予定をホームページやSNS 上で案内したり、地元ケーブルテレビで紹介して地域住民が興味を持ち、店に足を運べるよう働き掛けを行いました。
 このような取り組みの効果もあり、20年10月以降、小諸市外からの移住者などがリノベーションして開業した店舗は8軒に及び、22年10月までにさらに7〜8軒の開業が予定されています。こうして旧北国街道沿いを中心に人の流れができ、賑わいが生まれつつあります。
 ※詳細は、経済月報7月号「トピックス」に掲載しています。ぜひご覧ください。

  

 


 

 

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