工事後の埋め戻し作業を省力化する「信州Fソイル」
 

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最終更新日: 2022年7月8日

 1954年創業の竹花工業(株)は、公共・民間工事を行う東信地域有数の土木建築業者です。砕石・生コンクリート事業も手掛けており、近年は環境への取り組みとして、産業廃棄物のリサイクルにも力を入れています。砕石や生コンの材料となる砂を洗浄した後に残った泥は産業廃棄物となりますが、これを地面を埋め戻す材料として活用することに取り組んでいるのです。
 それが今回紹介するイチ押し製品の「信州Fソイル(残渣式流動化処理土)」(登録商標出願中)です。信州F ソイルのF には、Flow(流れる、流動性)、Fla(t 均一な)、Fillabilit(y 充填性)などの意味が込められています。
 

土壌を安定させる「信州Fソイル」

 その特長は、埋め戻し箇所に流し込むと、難透水性という特性により地下水を押し出して隙間を埋め、一定時間が経過すると周辺の土と同程度の硬さに変わることで、土壌を安定させるところにあります。
 従来の埋め戻し作業では、空洞化や陥没防止のために20~30cm埋め戻すたびに土を押し固める作業が必要になり、大きな負担となっていました。この製品を利用することでこの作業が不要になるほか、障害物などがあり土を搬入しにくい現場や狭くて深いマンホールといった、埋め戻し作業が困難な現場にもホースで流し込むことができ、作業の大幅な省力化につなげられます。
 さらに、配合を調整することにより、埋め戻し後の土の強度を自由にコントロールすることができ、コンクリートで埋め戻す場合に比べ、容易に再掘削ができるという利点もあります。


   

▲ 細かい隙間まで入り込み、概ね1日で人が歩ける程度、7日で設計値の40%程度まで固まる

長野県で初めて製品の製造・販売を開始

 「流動化処理土」は、旧建設省の時代からのプロジェクトである「建設副産物の発生抑制・再利用技術の開発」の一環として技術開発が進められ、全国の多種多様な建設現場で利用されてきました。ただ長野県内では、これまで製造拠点がなかったことや県外から流動化処理土を輸送するコストがネックになり利用は進みませんでした。
 こうした中、同社は建設発生土の残渣式流動化処理工法の特許を持つ中村建設(株)(静岡県浜松市)の技術指導を受け、製造の受託契約を締結。2021年12月に小諸市にある自社の生コンプラントに県内で初めて残渣式流動化処理土の拠点を整え、製造・販売を始めた。現在は、東信、北信、中信地域を販売エリアとしています。
   

社会インフラの老朽化対応などに幅広い用途

 今後、社会インフラの多くが老朽化する見通しであり、特にガス、上下水道の工事には、地盤沈下のリスクを低減させ、コストの圧縮が可能な「信州Fソイル」の利用促進が期待されます。
 唐澤正幸社長は、「今後は、南信にある駒ケ根工場でも製造する予定であり、県内全域への供給体制を整えていきたい」と力を込めて語ってくれました。

 

 

▲ 地下構造物の埋め戻し、建物の地下空洞の充填、埋設管の周辺部の埋め戻しなど用途は広い

 竹花工業 株式会社

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