りんごのプレザーブ(果実煮)を柔らかクーヘンでサンドした「りんご小径」

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最終更新日: 2022年3月10日

 1804(文化元)年創業の老舗菓舗である(株)二葉堂は、200年に及ぶ歴史の中で、常に新しい菓子作りに取り組んできた。中でもカステラは、1909年に卸売りを始め、18年にカステラ専門工場を開設しました。しっとりとした生地を作り上げるための独自製法を職人が守り続けており、現在もカステラは人気商品となっています。
 その後、52年にはクリスマスケーキ、58年に生クリームケーキ、65年にバウムクーヘンの製造を順次開始し、長野の菓子業界をリードしてきました。90年代以降は県産りんごを素材にした商品開発に力を入れ、現在、北信地域に10店舗を展開中です。 

新しい組み合わせが口の中で調和する

 イチ押しは、同社売り上げNo.1の洋菓子「りんご小径(こみち)」です。これはバウムクーヘンの生地を丁寧に焼き重ね、完熟りんごのプレザーブ(果実煮)をサンドして、表面をホワイトチョコレートでコーティングした新しい組み合わせの商品です。一口食べると、完熟りんごの香り、甘み、歯ごたえと4層のクーヘン生地のふんわり感、それを包むホワイトチョコの風味が口の中で調和します。使用するりんごは長野県産のサンふじ、しなのスイート、紅玉などの人気品種で、砂糖の量を抑え、自然な甘さとシャキッとした食感が残るよう絶妙に煮詰めています。       

職人による丁寧な手作り

 りんご小径は、バウムクーヘンの生地の微妙な焼き具合いが難しく、またりんごのプレザーブをスライスする際の厚さ調整や、生地の上に隙間なく並べることも難しいため、ほとんどの工程を手作業で行っています。熟練した職人でしか作れない商品のため、大量生産は難しく、他社が真似のできない商品となっています。
 同商品は、96年に商標登録を行い、その後も10年の歳月をかけて改良を重ねながら、現在の形となりました。2013年には、そのおいしさと品質を認められ、全国の菓匠が競う第26回全国菓子大博覧会(広島大会)で栄誉ある農林水産大臣賞を受賞しています。
 

 
  

二葉堂の売り上げNo.1商品「りんご小径」
個包装は、表面のチョコレートが壊れないよう工夫されている

長野県を代表するお菓子に育てたい

 りんごを使ったお菓子は、このほかにも、「りんごパイふじ」、「長野おりんごまんじゅう」があり、3種類を詰め合わせた贈答用も販売しています。また、17年にはアップルパイ専門店「信州りんご菓子工房BENI-BENI」を善光寺仲見世に開店するなど、りんごを素材にした菓子の可能性を絶え間なく追求しています。
 コロナ禍で消費者の購買チャネルも変わってきました。清水基弘社長は「今後は、通販やオンラインショップ、卸売にも力を入れつつ、長野と聞けば『りんご小径』と言われるよう長野県を代表する菓子に育てていきたい」と熱い思いを語ってくれました。
 

 

長野総本店(長野市石渡)の外観。 店内には「手作り        
ケーキ工房」があり、ケーキ作り体験もできる(要予約) 

 株式会社 二葉堂

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