日本の有機農業に貢献するデリカのマニアスプレッダ(堆肥散布機)

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最終更新日: 2021年11月10日

(株)デリカは、堆肥散布機や飼料用米破砕機等を製造する農業機械メーカーです。1953年に前身の(株)デリカ機器製作所を設立し、船舶用内燃機を製造していましたが、58年に長野県経済連との取引を通じて耕運機に取り付けるトレーラー(運搬機)の製造・販売を開始し、農業分野に参入しました。
 その後は、トラクタの普及を見越して、62年にトラクタに取り付ける堆肥散布機などの製造を開始。68年にはトラクタと作業機械を連結する「3点リンク」の製造を始めました。こうして農業用の作業機械を開発・製造するニッチトップ企業の地位を固めてきました。
 88年に現社名に変更し、91年に松本臨空工業団地に本社工場を新築移転しました。2020年にはさらに第二工場も竣工し、業容拡大と競争力の強化を図っています。 

あらゆるニーズに応えるマニアスプレッダシリーズ

 イチ押し製品は、「マニアスプレッダ」という堆肥散布機のシリーズです。牛などの家畜の糞尿堆肥を農地に散布する作業機械で、畜産、水田、畑作農家向けに販売を進め、農家の規模拡大に伴う機械の大型化ニーズや、中山間地、果樹園に対する有機肥料の再評価などで、中型、小型、歩行用ニーズに対応することで製品ラインナップの充実を図ってきました。
 現在、移動手段の違いにより、(1)トラクタによるけん引式、(2)自走式、(3)トラックへの搭載型の3種類をそろえています。  

 

トラクタでけん引するタイプ。トラクタの走行方向と
連動してタイヤが動くステアリング車軸の機種もある

足回り(車軸)と回転機構(ビータ)に強み

 足回りは、豊富な種類と車軸の頑丈さが強みです。2輪、4輪のほか、トラクタの走行方向と連動してタイヤの角度が変わり、小回りが可能となるステアリング車軸をそろえています。ステアリング車軸を国内で提供するのは同社だけで、内輪差が発生しにくいため安全性も高いと好評です。このほか水分の多い軟弱地盤にはクローラ(キャタピラ)タイプもあります。
 また、車軸は厚い鉄製部品で頑丈に作られており、水分が多く重い堆肥を荷台一杯に積載しても軋むことはありません。専業メーカーとして耐久性へのこだわりは強く、顧客からは高い評価を得ています。
 もう1つの強みであるビータとは、散布羽の付いた回転機構のことで(写真右)、これにより荷台の堆肥を掻き揚げて農地に散布します。主な形状として、堆肥の厚あつ撒まきができる横型ビータ、幅広く均一の散布が可能な縦型ビータ、散布幅を調節できるスーパービータの3種類があり、ほとんどの作業に対応できます。 

   

枠で囲んだ部分が散布羽がついた回転機構(ビータ)。写真は、横方向
に設置した軸が回転し、荷台の堆肥を飛ばして農地に散布する横型ビータ

「有機農業と未来へ」をキャッチフレーズに

  国は今後の農業について、化学肥料を減らし有機肥料を増やす方向性を描いており、化学肥料と堆肥(有機肥料)を混ぜて固める混合堆肥の開発も進んでいます。同社はそれに対応し、新たな散布機の開発も進めています。「今後も有機農業と共に歩んでいきたい」と金子社長は語ってくれました。
 

 

株式会社 デリカ

 

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