人材育成のためのコミュニケーション「1on1ミーティング」 <2021.8.31>

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最終更新日: 2021年8月31日

 1on1ミーティング(以下:1on1という)は、面談の頻度を高めたタイムリーなコミュニケーションが特徴です。人材育成では、半年に1回1時間の面接をするよりも、毎月10分の面接を行う方が効果的です。「傾聴」と「質問」により、部下の課題や悩みを共に解決策に導くことで相互理解が深まり、日常的なフィードバックを定着させることが、人材育成につながります。

1on1とは、短いサイクルでの1対1の対話

 1on1に明確な定義があるわけではありません。一般的に、人材育成を目的として「上司と部下が1対1で行う面談(対話)」と理解されています。昨今の人材育成でのトレンドとして大手企業などが取り組んでいることで注目を集め、広まってきています。

リアルタイムのフィードバックが重要

  人材育成のためのコミュニケーションでは、職場での行動や仕事への取り組みなどについて、タイムリーなフィードバックが重要です。フィードバックとは、相手の行為に対して、自分が感じたことや認識を伝える行為です。それにより部下は自他の認識のギャップに気付き、自分で見えていなかった事に意識がいくようになり、成長につながります。

 フィードバックは鮮度が重要です。部下へのフィードバックを出来事の数ヵ月後にしても、上司か部下、または双方の記憶が薄れており、認識のギャップが明確にならない可能性があります。また、タイムリーなフィードバックが無かったことについて、部下が不信感を持つ可能性もあります。

 上司はあらかじめ自分のスケジュールに、1on1の予定を確保して、空いた時間に他の業務を入れるくらいの覚悟で取り組むことが有効でしょう。

傾聴と質問を活用して相互理解を深める

  1on1では、耳と目と心をフル活用して部下の話を「傾聴」することが重要です。体を部下の方に向け、目を見て、表情を出し、うなずきや相づちを入れると、部下が話しやすくなります。

相互理解を深めるために、「質問」を通じて「訊く」ことも必要です。1on1での質問は、相手に問いかけて「考える」「気付く」きっかけを与える行為です。部下の話の中で欠けている視点がある場合、「〇〇の面はどうだろうか」といった質問を通じ、それに気付かせるよう導きます。部下が自分自身を主語として回答できる質問も有効です。具体的には、「それに対して〇〇さんはどう思いますか」といった質問をすると、部下が物事を自分事として捉えることで建設的な思考が促されます。

日常的なフィードバックを定着させる

 コミュニケーションを人材育成に生かすには、日常的なフィードバックを定着させることが有効です。上司が部下に興味や関心がなければ、価値ある気付きを得る事は困難です。部下に関心を持ち、観察し続けることで1on1の中身が充実し、上司と部下の信頼と相互理解が深まり、部下の成長につながります。

 当研究所では、人材育成に重点を置いた評定者研修や階層別研修を実施しています。是非、お気軽にご相談下さい。

 本稿は、経済月報2021年8月号の相談コーナーで紹介したものです。

(主席コンサルタント 岩下宏文)

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