就業規則の見直しのポイント(2021.3.16)

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最終更新日: 2021年3月16日

  就業規則は、労働時間・賃金といった労働条件や職場内の規律などを定めた「職場のルールブック」です。従業員の処遇や諸制度の運用ルールを明確にすることで、労使間のトラブルを未然に防止するとともに、万が一トラブルが生じたときは解決に向けた判断基準になります。

 従って、就業規則は法律や会社の実態に適合するように、都度見直していくことが大事です。

法令の制定、改正に対応しているかを確認

 見直しに当たっては、まず新たな法令や法改正に対応しているかを確認する必要があります。労働条件に関係する部分については、全て法令が優先しますから、就業規則もこれに準拠したものでなければなりません。法令を無視した就業規則は、その部分は無効となりますし、トラブルの元となってしまいます。特に近年は、有給休暇5日取得の義務付けや時間外労働の上限規制の導入など、働き方改革関連の法改正が続いており注意が必要です。

就労の実態との一致を確認

 法対応以外には、実際の労働条件と一致していることを確認する必要があります。社会の変化等に対応するために会社が行った労働条件の変更が、就業規則に十分に反映されず、周知が不足していることが原因で使用者と従業員の間でさまざまなトラブルが起きています。近年、労働環境や労働条件に対する社会的な意識や関心の高まりもあり、個別労働紛争は増加する傾向にあります。従業員が納得して働くためには、労働条件が変わった際は就業規則もそれに対応しておくことが大事です。

 見直しが必要となる最近のケースとしては、テレワークの導入が挙げられます。例えば、従業員に通信費用を負担させるなど、通常勤務では生じないことがテレワーク勤務に限って生じる場合には就業規則の変更が必要になります。また、テレワーク導入に際して、フレックスタイム制を採用したいような場合にも、既存の就業規則に規定がなければ変更が必要になります。

変更の手続は作成時と同じ

 就業規則の変更に効力をもたせるためには、作成した時と同様に変更した就業規則について従業員代表等に意見聴取を行ったうえで、所轄労働基準監督署長に届け出し、併せて従業員に周知する必要があります。また、変更は、その都度遅滞なく所轄労働基準監督署長へ届け出ることが必要で、一定期間分をまとめて届け出することはできません。

時代変化に対応した見直しが必要

 就業規則を明確に定め、周知し、使用者と従業員の双方がこれを守ることは、無用なトラブルの発生を防ぐとともに、風通しのよい職場づくりにもつながります。就業規則は、一度作成したら終わりというものではなく、いつも新鮮な状態に保っておく必要があります。法令の制定・改正動向や会社を取り巻く環境の変化に気を配り、必要に応じてすぐに対応することが大事です。就業規則の重要性はますます高まっています。自社の就業規則を毎年チェックしていくことをお勧めします。

(本情報の詳細につきましては、経済月報2021年2月号の相談コーナーを御覧下さい

    (上席コンサルタント 矢野丈継)

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