新入社員の育成にあたって~トレーナー制度の活用~<2021.2..8>

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最終更新日: 2021年2月8日


 今年もあと2か月で新入社員を迎える時期となりました。そこで今回は、新入社員の育成を通じて、育てる側の成長と職場の活性化にもつながる「トレーナー(OJTリーダー)制度」をご紹介します。 
 

 人材育成には、職場内で行われるOJT(On the Job Training)と外部研修などのOff-JT(職場外教育)、自己啓発(SD=Self-Development)の3本柱があります。

 そのうち、OJTの一環として、新入社員1人に先輩社員(チューター、ブラザーなど企業によって名称はさまざま、以下トレーナーといいます)を指名し、育成を担当してもらうのがトレーナー制度です。社会に出たばかりで慣れない業務や人間関係の悩み、将来への不安などさまざまなストレスを抱えた新入社員を、先輩社員が仕事・精神の両面からサポートし、独り立ちできる環境づくりをしようというものです。

制度の目的は新入社員・トレーナー双方の成長

 この制度の目的は、新入社員の成長だけではありません。育成する側のトレーナー自身の成長もあります。トレーナーは、仕事を教えることを通じて自らの仕事を概念化し、業務の見直しや知識の棚卸をすることで、仕事面のスキルアップが期待できます。また、後輩と接しながら、教えることの難しさや信頼関係を築くことの重要性に気付き、コミュニケーションのとり方やリーダーシップの発揮の仕方を学ぶのです。
この制度を成功させるポイントとして、
1.トレーナーの選抜方法、2.トレーナーをフォローする体制の充実、3.職場全体(全社あげて)の育成体制づくり、を挙げたいと思います。 

トレーナー選抜では

 人選のポイントとしては、1.新人の担当業務と同じ、またはその業務を理解・精通している、2.高いモチベーションを持ち、責任ある態度がとれる、3.組織人としてチーム行動がとれる、などがあります。新入社員の育成はもちろん、自身の成長も期待されていることをトレーナーに伝え、モチベーションをアップさせることが成功の第一歩といえるでしょう。

 

フォロー体制の充実


 次に鍵となるのが、トレーナーをフォローする体制の充実です。トレーナー自身がきちんと体系だった教育を受けたことがない場合や、相談する人がいないため一人で悩んでしまい、育成がうまくいかないといったお声をよく耳にします。まず、人を育てるには欠かせない「話す、聴く」「ほめる・しかる」などのコミュニケーションスキルを習得する機会をトレーナーに与え、育成をフォローすることが必要です。
 また、上司のフォローも重要です。育成の目的、新入社員の将来像をトレーナーと一致させた上で、トレーナー主導ながらも折にふれ進捗状況を確認します。新入社員とトレーナーで交換日記のようなものを作り、そこに上司からのコメント欄を設けるなどツールの活用も有効です。
 さらに、トレーナーが育成に集中できるよう、他メンバーからの応援体制をつくるなど、業務分担の見直しを進めるなどのフォロー体制を整えることも必要でしょう。
 

職場全体(全社あげて)の育成体制づくり

 新入社員を育成することは、新入社員およびトレーナーが成長するだけでなく、職場の活性化にもつながります。新入社員とトレーナーの1対1での個別の育成のみに頼らず、職場全体で新入社員の成長を支援しながら「互いに支援する関係」をつくることは、職場全体のコミュニケーションを活発にし、「新入社員の成長支援を通じた職場活性化」につながるのです。

トレーナー研修のお勧め

 当研究所では、毎年3月にトレーナー研修教室を開催しています。人材育成の重要性、トレーナーの役割・指導の仕方、ほめ方・しかり方、傾聴、新入社員のタイプ別対応などを、講義のみでなくグループディスカッションも交えて学んでいただき、情報交換の場としても活用いただいています。ぜひ、育成の一助としてご活用ください。

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