コロナ禍で増える県内移住の動き
<2021・02・10>
コロナ禍で、人口の転入超が続いた長野県
長野県信州暮らし推進課によると、県内への移住者数は2017年から19年にかけて増加傾向にあります。また、移住も含めた人口異動は、最も異動が多い東京都との間で20年4月以降、8カ月連続で県内への転入超過の状況です(図表)。背景には、行政の移住促進施策に加え、コロナ禍による首都圏転出の動きがあります。こうした中、前年に比べ転入超過の増加幅が大きい15市町村の中から、特徴的な地域の動きがみられる軽井沢町、茅野市、長野市、伊那市の動きを探りました。
それぞれの特徴がみられる4つの地域
軽井沢町は、東京から新幹線で1時間強の通勤圏にあることや、リモートワークを導入した企業の増加などが後押しとなり、首都圏から富裕層、子育て世代の転入が目立ちます。20年4月に3~15才までの子供が1つの校舎で学ぶ私立の軽井沢風越学園が開校したことも増加要因の1つです。
茅野市は、八王子市から車で約2時間の場所に位置しています。市は、敷地が400~500㎡と広く諏訪南ICから車で15分とアクセスの良い分譲住宅地「グリーンヒルズヴィレッジ」を販売しています。販売は前年の2倍を超え、リモートワークをポイントに移住を決めた人が複数みられます。
長野市は、行政サポートによる移住者が増えています。信更地区では、住民自治協議会が取り組む「空き家バンク」と「田舎暮らし案内人」が大きな役割を果たしており、前者は古民家暮らしがしたい人に農地付き物件を紹介でき、後者は何でも相談に乗り移住者の不安を取り除いています。
伊那市には、市内全域から児童の受け入れができる各学年15人以下の小規模特認校や、週15時間以上屋外活動を行う「信州やまほいく(特化型)」の認定を受けた公立保育園があり、子育て・教育に力を入れています。また、19年4月以降12月までに、オンライン動画配信を27回開催するなどWebやSNSの積極的な活用で移住希望者の目に留まる工夫をしています。
Webの活用と不安解消の仕組みが移住を活発化させる
20年は、コロナ禍で子育て世代が窮屈な都会の生活を離れて移住するケースが多くみられました。また、移動制限の中、Web やオンライン配信の活用が広がり、現地に行かなくても現地の様子を知ることができ、移住候補地を効率的に絞り込めるようになりました。このため、Web やオンラインでの情報発信力を高めた地域は、移住が増加しているものとみられます。
さらに、移住関連の情報を一元化して提供する行政の仕組みが、移住希望者の安心感を高めています。移住者への多様な情報提供と不安解消の仕組みが、受け入れ側とのマッチングをスムーズにし、地方移住の流れを活発化させています。
詳細は、経済月報2021年2月号掲載のトピックスに掲載しています。ぜひ、ご覧ください。
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