広がり始めたワーケーション< 2020.10.15 >

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最終更新日: 2020年10月15日

注目が集まるワーケーション

 新しい働き方としてワーケーションが注目されています。ワーケーションとは、「work」(仕事)と「vacation」(休暇)を組み合わせた造語で、これまで日本では馴染みがなかった、観光地やリゾート地などで休暇を兼ねながら仕事をする新しい働き方です。ワーケーションは新たな人の流れをつくり出し、経済を活性化させることから、受け入れに向けて各地で環境整備が進められています。
 ワーケーションの関係者は、大きく利用側と受け入れ側に分けられます。利用側は、ワーケーションをする側の企業や個人とその家族などで、受け入れ側は、仕事をする場所やアクティビティなどを提供する側の自治体や地元の宿泊・観光施設などです。ワーケーションの主なメリットや期待、デメリットや課題は図表1のとおりです。

図表1 ワーケーションの主なメリットや期待、デメリットや課題

 

利用先として魅力のある長野県

 長野県では、県内に滞在し、仕事をしながら休暇も楽しむ新たなライフスタイルとして「信州リゾートテレワーク」を2018年度より推進しています。これにより、都市部からの新たな人の流れの創出による地域経済の活性化と関係人口(移住による「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々)の拡大を目指しています。
 県は、図表2の12のモデル地域を設け、地域内でテレワーク環境の整備やリゾートテレワークの体験イベントの開催などに取り組む民間事業者に対して補助金を交付するとともに、主に大都市圏の企業をターゲットに、ホームページやPR動画などにより信州リゾートテレワークの魅力を統一的に発信しています。

図表2 県内のモデル地域

 

その地域でしか体験できない働き方を

 新型コロナウイルスの影響で、首都圏ではオフィスを削減したり、テレワークを常態化する企業もみられます。また、環境省が全国の国立・国定公園や温泉地でのワーケーションを推進するなど、ワーケーションへの機運は高まっています。
 和歌山県と長野県は、19年11月にワーケーション自治体協議会を設立し、ワーケーションの全国的な普及や促進に向け先進的に取り組んでいます。日本におけるワーケーションはまだ日が浅く実績や効果の検証が乏しいため、ワーケーションの受け入れで先行する長野県が、実績や効果を継続的に発信するとともに、体験会を通じて利用機会を増やしていくことが必要です。
 長野県にワーケーションブランドを確立させるために「信州リゾートテレワーク」を強力に推進し、アピールを続けていくことで新たな人の流れが生れます。新たな人の流れは、地域経済に活力をもたらすでしょう。

 *経済月報2020年10月号のトピックスには、県内モデル地域の取り組み事例も掲載していますので、ぜひご覧ください。

 

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