台風19号による被災をバネに、未来へ踏み出す企業の新たな取り組み<2020・8・4>
 

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最終更新日: 2020年8月4日

  2019年10月12日から13日にかけて長野県を通過した台風19号は、大きな被害を県内にもたらしました。特に商工業では、千曲川が決壊した長野市北部の企業が甚大な被害を受けました。被災からおよそ8カ月が経過する中、被災前の原状回復にとどまらず被災をバネに新たな取り組みに挑戦している企業の事例を紹介します。

HACCP取得により、信頼獲得とさらなる発展を目指す   

 (株)ミールケア(長野市)は、福祉施設や保育園・幼稚園などの給食サービスの受託のほか、自然食レストランの運営をしています。台風19号で大きな被害を受けましたが、被災による風評を跳ね返すために、食品製造に関する安全管理の認証であるHACCP を取得することで、これまで以上に高い信頼を確保することを目標に据えました。
 

  

▲新しい「みーるんヴィレッジ」のイメージ図 盛り土に植樹した森が囲む。
 

被災地支援の経験を生かした復旧・復興と、新たなニーズへの対応で事業領域を広げる

 (株)カンバーランドジャパン(長野市)は、トレーラーハウスのデザイン・設計から製造・販売までを一貫して行っています。近年は、災害時の仮設住宅としてトレーラーハウスが注目され、トレーラーハウスの提供を通じて被災地支援を行ってきました。そうした中、台風19号で自社の豊野工場とトレーラーハウス25台が浸水しました。同社はこれまで行ってきた被災地支援の経験から、被災地の復旧はスピードが重要との教訓を自社で実践し、豊野工場の製造エリアを早期に復旧させ、納品を目前に浸水したトレーラーハウスを造り直すとともに市内の仮設住宅として製品を提供しました。また、コロナ禍で、日本医師会などから医療従事者の休憩室や重篤者の隔離のためのトレーラーハウス開発の新たな要請を受け、並行して開発を急ぎ、6月に新製品として受注を始めました。

▲ 5月に稼働を始めた新工場。中には製造中のトレーラーハウスが並ぶ

 

 

生産ラインをゼロベースで見直し生産効率化、スマートファクトリー構想を前倒しで整備

 Nikki Fron(株)(長野市)は、半導体製造装置向け等にフッ素樹脂製品の製造、射出成形機の組み立て等を行っています。台風19号で本社及び工場が浸水しました。浸水した複数の工場にはこれまでプレス機と工作機械が分散し非効率なことが課題でしたが、被災を機会にゼロベースで生産ラインを組み直して生産効率を高めました。また、災害以前から生産性向上のため進めてきた「スマートファクトリー」構想を前倒しし、工場内の機械のほとんどをIoTの対応機種に入れ替えました。他の工場のスマートファクトリー化も進み、新たな分野をターゲットに事業展開が可能となりました。


 

▲ 復旧したスマートファクトリーの内部。左は稼働管理。

右はオートワークチェンジャーで、自動で製品を入れ替える

ビジョンが明確だからこそ、逆境でも新しい取り組みが生まれる

  紹介した企業は、常に未来のビジョンを考えてきたからこそ、被災しても「新しい取り組み」を素早く具現化できたといえます。

詳細は、経済月報7月号調査レポートに掲載しておりますので、是非ご覧ください。

 

 

 

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