変わりつつある「働き方」について <2020.6.5>

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最終更新日: 2020年6月5日

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言により、各自の「働き方」が大きく変わりつつあります。「働き方」が変わることによる影響について考えてみました。

コロナ禍での働き方

 202045月の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言は、日本中の企業がこれまで経験したことのない規模とスピードで、出勤制限・フレックスタイム・在宅勤務などを実施する契機となりました。

 これにより、リモートワークや非対面の営業活動、WEBミーティング・研修等が普及し、各社がオンラインで多くの事ができることに気付きました。自社もお取引先も意識が変わり、新型コロナ収束後も社会が元に戻ることはないとも言われています。

 緊急避難的な働き方を余儀なくされたこの2か月間は、働き方や仕事に対する個人の価値観を根本から変え、今後より良く働くための準備期間となったと感じている方も多いはずです。

 

求められる仕事の進め方

 今回のような危機時は、従来の仕事の進め方を見直し大きく転換する好機となりえます。実際に新型コロナによって価値観が変わり、時間や場所を問わない働き方や非対面の仕事の効率性が重視されるなど、働き方や仕事の進め方にパラダイムシフトが起きようとしています。

 大切なのは、ITスキルやデジタル技術そのものよりも、そのスキルや技術をどう活用すれば、これまでのやり方や仕事をうまく変革できるかという発想力ではないでしょうか。正解は誰にも分かりませんが、自分たちが目指す仕事の進め方に周囲を巻き込む力が求められているのだと思います。

 個人の働き方や仕事の進め方が変わる状況においては、企業にも変化が求められます。では、各企業が社員に期待する内容はどのように変わっていくのでしょうか。

 

評価の仕組みの見直し

 企業が社員に何を期待するかは、人事評価の内容に反映されます。今後は、仕事の成果を評価する尺度や社員を評価する項目など、評価の仕組みを見直す企業が増えるでしょう。

 何時間労働したかよりも、どんな成果を出したかが評価されるべきであり、同じ成果であれば、かけた時間が短い方が評価されるべきです。成果の評価尺度では、売上高・粗利益といった目標設定はあっても、結果を時間あたりに換算して評価している企業はまだ少ないのが現状です。

 時間当たり成果を評価することにより、労働時間に制限のある人材も同じ土俵で競うことができるようになります。働き方や仕事の進め方の変化により、ワーク・ライフバランスやダイバーシティーへの取り組みが、これまで以上に加速することになるでしょう。

 プロセス面の評価項目では、お取引先を何回訪問したかよりも、どんな提案をしてどのような成果があったかが重要です。評価項目として訪問件数や面談件数を入れているケースがありますが、そのような評価項目を見直す企業が出てくるでしょう。

 能力面の評価項目では、仕事の進め方を変革する「企画力」「創意工夫力」「革新力」など、現状を変えていく能力に関する項目などが、これまで以上に重要視されるようになると考えられます。

 求められる仕事の進め方に応じて経営者が評価の仕組みを転換させることは、社員が仕事の生産性を上げる方向に意識を向ける動機付けとなります。目先の残業代ではなく、生産性を高めて昇進・昇格で収入が増加することを目指す意識が高まれば、「働き方」の見直しはさらに進展していくことでしょう。

 

 新型コロナ第二波の懸念など、今後も当面不透明な状況が続きますが、働き方の変化により仕事の進め方や評価の仕組みを見直す機運は、今後ますます高まるものと思われます。

 当研究所では、「人事評価制度」「働き方改革」「ワーク・ライフバランス」等について、幅広いご相談をお受けしています。是非、お気軽にお問合せ下さい。

 (主席コンサルタント 岩下宏文)

 

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