3Dプリンターの特性を十分に生かし顧客の試作をサポート
シナノカメラ工業 株式会社

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最終更新日: 2018年11月9日

 1974年設立のシナノカメラ工業株式会社は、90年代までカメラの組み立てを主力としてきましたが、受注先の海外移転に伴い同事業は縮小し、現在は、EMS(受託製造)メーカーとして、電子機器の基板実装や小型精密機器の組み立てを事業の中核としています。
 

3Dプリンターで試作ニーズへの対応力を高める

 受託製造企業にとり、顧客の新製品開発に試作段階から関わることは、その後の量産品の受注にもつながるため重要です。そこで2013年、同社は顧客の試作ニーズへの対応力を高めるため3D プリンターを導入しました。3D プリンターは、設計データに基づいた立体を造形する装置です。
積層方式のため金型が不要で、切削では難しい複雑な構造も実現できます。また、材料の無駄も大幅に減らせるほか、試作コストの大幅な削減や納期の短縮にもつながるなど利点が多くあります。
  

4台の異なる3D プリンターできめ細かな対応

 同社は4種類の3D プリンターを所有しています。高精度造形に適した1台は、インクジェット方式により、積層ピッチ15μ m(0.015mm)の高精細造形が可能で、狂いのない組み付けが必要な部品などの造形に最適です。長期間、形状が安定する樹脂を用いることで、試作品だけでなく量産する製品の製造も可能です。もう1台は、FDM(熱溶解積層方式)で、軽くて強靭な造形ニーズに対応できます。ローコストニーズに対応する2台は、高精度の試作に入る前の試作にも活用できます。
 これらの3D プリンターの性能を十分に発揮させるためには、3D プリンターに合った設計上の工夫が重要となります。

▲13年に導入した3D プリンター。高精度な造形を
  はじめ、あらゆる工業製品の試作に適している
 

社内の治具の内製化で設計力も磨く

 最適な設計を行う力は、試作の受注はもちろん、社内の治具製造に3D プリンターを活用する中でも磨いています。例えば、複数部品を組み立てて作っていた従来の治具を、3Dプリンター用に一体品として設計して製造したり、重い治具については、中身を空洞化する設計にして軽量化を図りました。また、金属製治具は、全てを樹脂に置き換えるのではなく、金属部品を組み合わせる設計で軽量化と強度を両立しています。こうした経験に基づくノウハウが同社の3D プリンター事業の強みとなり、スピーディーな対応を可能としています。

▲3Dプリンターで作製した社内で使用する治具
 4台の3Dプリンターと樹脂を性能により使い
 分け、設計のノウハウなどを蓄積している。
 

商品開発を完結できるネットワークをつくりたい

 松本市は、11月1日に大都市からも企業が入居するICT拠点「サザンガク」を同市内にオープンしました。同社もサテライトオフィスを開設しており「集う企業や人のアイデアを形にし、商品開発を完結できるネットワークを地域に構築したい」と河西社長は話します。3D プリンターを活用し、アイデアの製品化を積極的に支援していく方針です。

 

シナノカメラ工業 株式会社


 

 

 

 

 

 

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