特殊形状や小ロット対応などで全国に広がる食品パッケージ缶
株式会社 中條製缶

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最終更新日: 2018年11月9日

 株式会社中條製缶は、1935年、東京都大田区にて海苔缶の製造で創業しましたが、その後戦火が激しくなり長野県小布施町に疎開しました。戦後、東京へ戻る予定でしたが、小布施町に残って欲しいとの強い要請があり、そのまま落雁の缶製造で事業を再開し、その後、栗ようかんや栗かのこなどの缶の製造に着手しました。製缶業一筋で、業歴は80年を超えています。
 

地域の特産品と共に成長

 73年、同社は地域の特産品の缶詰需要増加に対応するために、須坂市に本社工場を移転し製缶工程の自動化を図りました。これにより量産対応が可能となったことで、地域の食品産業の発展に寄与すると共に同社も成長してきました。現在も県内で唯一の食品缶詰用の製缶業者として信頼は厚く、主な取引先には栗菓子の小布施堂、桜井甘精堂、栗庵風味堂、七味唐辛子の八幡屋礒五郎など地域の名立たる企業が名を連ねています。
 

▲七味唐辛子にも使用される蓋をかぶせるタイプの缶
 

 

顧客ニーズにきめ細かく対応し、取引先は全国に広がる

 素材には主に鉄が使われており、優れた密封性や防湿性、遮光性によって風味や鮮度を長く保ち続けられます。また、振動や落下などに対する耐衝撃性もあり、中身が崩れやすい場合でもしっかり形を守れます。さらに、熱や水にも強く、中身が品質変化を起こしにくいなどの特長を持っています。味わいを長期間にわたって安全に閉じ込めておきたい場合には、まさしくうってつけの食品容器と言えます。
 缶は、丸形から楕円形、長方形、台形など、中身や用途に合わせて最適な形状を作ることができますが、同社は他社では取り扱っていないサイズや特殊な形状の缶も製造しているほか、小ロット対応など顧客ニーズにきめ細かく対応できるため、包装容器の展示会を通じて、取引先は全国に広がっています。

ハンドシーマー、半自動シーマーも開発

 また、缶の製造のみならず、缶に内容物を入れて封をする独自の丸缶専用巻締機(ハンドシーマー、半自動シーマー)を開発し、販売も行っています。きっかけは、85年頃に食品メーカーの開発部門や高等学校の実習用で、ごく小ロットの缶詰めを簡単に作れる機械が欲しいというニーズがあったことです。現在でも研究用として注文が入っています。

▲大手食品メーカーの商品開発部に導入されたハンドシーマー。
試作を行う開発部門や教育機関の実習用に需要がある
 

広がる缶の用途にも対応

 最近は農業の6次産業化の動きから、農産物を加工した缶詰用の缶の引き合いもあります。県内外から、海産物や肉の加工品のほか、煮卵の缶詰用としての問い合わせもあるなど、用途に広がりをみせています。「保存性や商品のアピール効果の高い缶の提供を通じて、食品製造業の役に立ちたい」と中條社長は今後も食品製造業と共に成長を目指す考えです。

 

株式会社 中條製缶


 

 

 

 

 

 

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