ISO活動の活性化につながる内部監査のレベルアップ

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最終更新日: 2020年3月6日

   ISO活動の形骸化やマンネリ化といった課題を抱えている企業は少なくありません。活動を通じた継続的改善への取り組みと、目に見える成果の達成が活動の停滞を防ぎます。そのための効果的な解決策の一つとして、内部監査のレベルアップに取り組まれてはいかがでしょうか。

 内部監査の持つ本来の目的と意義

   内部監査とはISO認証を持つ組織が、そのマネジメントシステムを自ら検証・評価するプロセス(活動)であり、認証を維持する上で必須の事項となっています。その目的と意義は、“ISO規格や組織のきまりへの適合性確認(きまりを守っているかの確認)”と“活動自体の有効性確認(成果が上がっているかの確認)”の2つですが、ISO活動の形骸化・マンネリ化の原因は、組織全体における適合性重視・有効性軽視の姿勢にあると言えます。従って内部監査が本来備えている効率性・有効性の確認を含めた仕事の仕組みを評価する役割や、業務改善提案の機会としての役割を十分に発揮できれば、内部監査というプロセスそのものをISO活動の活性化・有効化につなげることができます。

ヒント1:内部監査の目的やテーマの明確化 

   内部監査を計画するにあたり、まずその目的やテーマを明確にして取り組むことが重要です。例えば以下のような監査目的・テーマを設定することで、課題がより鮮明になり、効果的な改善策の策定につながります。                                                    ・組織にとって不要な手順や記録の抽出と見直し                              ・業務効率化の状況や改善余地の有無の調査                               ・法令順守状況の確認 等

ヒント2:事前の情報収集と内部監査チェックリストの活用

   事前の準備として監査対象部門の業務フローや手順・記録類等の情報を収集し、分析をした上で内部監査を実施するのが良いでしょう。必須ではありませんが、監査目的や確認すべき事項についてポイントを押さえたチェックリストを事前に作成し活用することで、内部監査が漏れなく、かつ効果的に実施できます。

ヒント3:内部監査を改善提案の機会に

   内部監査においては、きまりを守っているかどうかを確認するだけではなく、良くできている点・成果が上がっている点や将来に向けて改善すべき点を積極的に拾い上げていく姿勢が大切です。そこで得られた賞賛・改善提案事項を直接経営層に伝え、組織全体の活動に展開することで、内部監査が経営に役立つツール(機会)となります。

ヒント4:内部監査員を計画的に育成する

   監査を実施する内部監査員の育成も重要です。監査員の力量(スキル)は、内部監査の成果に大きな影響を及ぼします。監査員にはISO規格や内部監査の知識だけでなく、監査対象部門の業務内容や専門知識及び法規制に関する知識等の習得が求められます。加えて、課題の抽出と改善策を評価・提案する能力や、監査員としての豊富な実務経験も必要となることから、中・長期的な視点から計画的に育成するのが良いでしょう。

まとめ

   日々変化する組織の状況に対し、常に最適なマネジメントシステムを維持していくための重要なツールが内部監査であり、そのレベルアップがISO活動の活性化・有効化につながります。お示ししたヒントを参考に、自社の内部監査のあり方や手法について今一度見直してみてはいかがでしょうか。

                                                                                  経営相談部 上席コンサルタント 澤井 深

 (本情報は、経済月報2019年4月号の「相談コーナー」に掲載した記事を加筆修正したものです)

 

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