中小の酒蔵からなる長野県清酒業の市場開拓の取り組み

<2019・03・08>
 

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最終更新日: 2019年3月8日

  清酒は生産量が減少していますが、最近では国内の地酒ブームや2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことによる世界的な和食ブームなどから、純米酒や吟醸酒などの特定名称酒が注目されています。こうした中、新たな取り組みにより顧客の獲得に向けて動き出している県内清酒業の事例に焦点をあて、成長のヒントを探りました。 

普通酒は減少が続いているが、特定名称酒は横ばい   

 清酒の製成数量は減少傾向にありますが、種類別では普通酒が減少し、純米酒や吟醸酒などの特定名称酒はほぼ横ばいで推移しています。また、販売数量規模別の企業数の構成比と課税移出数量(市場に出荷される数量)の構成比をみると、販売数量10,000kl 超の企業数は全体の0.8%に過ぎませんが、その課税移出数量は46.8%を占めています(図表1)。ナショナルブランドを持つ大企業と約1,500の全国の中小事業者に、二極化しているのが業界の大きな特徴と言えます。
 

  

規模が小さい長野県の酒蔵

 長野県は、2016年度の課税移出数量では全国9位に位置していますが、その一方で、事業者の数は2位(長野県74、新潟県89、国税庁のアンケート回答事業者ベース)と多いため、一事業者当たりの課税移出数量は、全国23位と規模が小さくなっています(図表2)。

 

 中小酒蔵の成長のヒント

 県内酒蔵へのヒアリングから顧客を獲得している事例の共通点を抽出してみると、以下の3点が挙げられます。
(1) こだわりの差別化でオンリーワン
 その地域の特性からしか造れない香りと味の酒を提供したり、外部機関の力と独自の設備を組み合わせることでこだわりの品質を作り上げているなど、他が真似できない独自の製法を持っています。
(2) 販売は、特約店を活用
 中小の酒蔵の場合は、生産量がそれ程多くないことから、普通酒よりも利益率の高い特定名称酒に注力し、販売は特約店への直売の比重を増やしています。
(3) 各賞受賞の広告効果
 国税局の酒類鑑評会や全国新酒鑑評会などにおける最優秀賞等の受賞は、技術力の証明になるのはもちろん、認知度も飛躍的に高めます。中小酒蔵は大手と違いプロモーションのための予算も限られる先が多く広告効果の高い鑑評会等のコンクールでの受賞を目標とする意義は大きいと言えます。
 詳細は、経済月報3月号の調査レポートに掲載しておりますので、是非ご覧ください。

 

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