鳥獣の被害防止に役立つ動物位置情報システム「ANIMAL MAP」
株式会社 サーキットデザイン

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最終更新日: 2018年11月9日

 株式会社サーキットデザインは、自動車の無線エンジンスターターをはじめ幅広く無線関連機器の開発・製造を行う企業です。近年は、鳥獣の被害対策用に無線通信を活用した鳥獣位置検知装置及びシステムの開発に力を入れています。
 国内の鳥獣被害の状況は、農業だけで年間約180億円に上ると試算され、林業被害や人への危害等も問題となっています。しかし、対策は人の勘に頼って行われることが多く、効果が低いことが課題でした。そこで無線通信技術を活用して効率的な電気柵・檻の設置や鳥獣を追い払うために開発したのが「ANIMAL MAP(動物位置情報システム)」です。
 まず、捕獲した鳥獣に発信機の付いた首輪を取り付けて放鳥獣します。その後は、その鳥獣が群れと共に行動する位置情報を一定時間毎に取得し首輪のメモリーに記録、そのデータを分析して有効な対策を講じる仕組みです。

いつでもどこでも動物の動きが確認できる

 鳥獣は商業用電波の届きにくい山林に生息していることが多いため、首輪のメモリーに記録された位置情報は、山林などに新たに設置する基地局等で信号を受信し、そこからNTTドコモの回線に乗せることで、いつでもどこでもWEB で確認が出来ます。この仕組みにより、例えば、この首輪を付けたクマが里山に出没したら、位置を確認し、捕獲隊が現地に出動する等の対応が素早く取れるため、被害防止に役立ちます。 

▲鳥獣の位置検知装置の仕組み
 (GPS 首輪発信器、基地局)

国産の2倍の容量を持つ高性能バッテリーを搭載する首輪

 同社製の首輪セットは、鳥獣の大きさに合わせてさまざまなタイプがあり、バッテリーが軽量かつ長寿命なことが特徴です。首輪が重いと鳥獣への負担が大きいため行動範囲を狭めてしまい十分な調査結果が得られません。このため首輪には軽さが求められ、国産とサイズがほぼ同じながら容量が2倍となるイスラエル製のバッテリーを採用しました。容量が大きいため長期間使用できるほか、データの送受信の頻度を上げることも可能です。

今後は災害防止領域に事業の拡大を目指す 

 同社は福島県内の鳥獣の行動調査をはじめ、国の「鳥獣被害防止総合対策交付金」を活用する自治体と協力し、ICT の導入による捕獲機材等の技術開発に取り組んできました。「ANIMALMAP」はそうした実績のもとに開発した国内で唯一の市販製品です。現在、県内では富士見町、国営アルプスあづみの公園、県外では神奈川県や千葉県など全国70カ所に固定基地局を設置し、鳥獣被害防止の役割を担っています。全国からの問合せや申込みも増えており、今後は「ANIMALMAP」の販売をさらに増やすと共に、これまで培った無線通信技術を生かし、携帯電話やスマートフォンの電波が届きにくい中山間地等で、ため池・河川の水位監視、土砂崩れの監視など自然災害防止の領域にも事業を広げていく方針です。

▲安曇野市穂高にある株式会社サーキットデザインの本社
 

株式会社サーキットデザイン

 

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