改正民法における保証の見直し

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最終更新日: 2018年8月28日

 2020年4月1日に施行される改正民法で、包括根保証の禁止の対象が拡大されるなど、個人保証人の保護が拡充されました。

貸金等債務以外の根保証でも極度額の定めが必要に

 改正民法では、保証について次の5つの点が改正されています。

 (1)包括根保証の禁止の対象拡大

 (2)事業性融資における第三者保証の制限(公証人による意思確認手続きの新設)

 (3)保証契約締結時の情報提供義務

 (4)主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務

 (5)主債務者の履行状況に関する情報提供義務

 まず、(1)について現行民法では、想定外の多額の保証債務を負担することを防止するため、貸金等債務の根保証については、「極度額の定めが必要なこと」「その定めを書面・電磁的記録で行わなければならないこと」「それを満たさないと保証契約が無効になること」とし、個人保証人を保護していました。改正民法では、これが不動産の賃貸借契約などの貸金等債務以外の根保証にも拡大されました。

 次に、(2)については一部の例外を除き、保証意思確認のための公正証書作成が義務化されました。具体的には、保証契約締結日前の1カ月以内に保証人本人が公証役場に行き、公証人が直接その保証意思を確認しなければなりません。保証意思の確認ができない場合、公証人は公正証書の作成を拒絶しなければならないとされています。

 義務化された各種情報提供

 続いて(3)は、主たる債務者が保証人(法人の場合を除く)に対して財産の状況等の情報提供義務を負うもので、これを怠ったり虚偽の情報を提供すると、保証契約が取り消される場合があります。そのため債権者にとっては、情報提供がされたことを確認することが重要になります。

 (4)は、債権者が保証人(法人の場合を除く)に対して義務を負うもので、これを怠ると、期限の利益喪失時から通知を行うまでの間の損害遅延金を保証人に請求することができなくなります。

 最後に、(5)は主債務者からの委託を受けた保証人(法人の場合を含む)からの請求があった場合に、債権者が主債務者の履行状況等の情報提供義務を負うものです。

 こうした改正による実務上の注意点について、経済月報2018年8月号の相談コーナーで紹介しています。是非ご覧ください。

 

 

 

 

 

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