後輩指導の進め方<2021.3.22>

印刷

最終更新日: 2021年3月22日

多くの中堅社員は後輩指導で悩んでいる

 当研究所で開催している「中堅社員研修」には毎回多くの方にご参加いただいています。中堅社員といえば周囲からさまざまな面で頼りにされることが多くなり、その分いろいろな悩みも出てきます。

 この研修後のアンケートで「一番参考になったことは?」という問いに対して常にトップになるのは「後輩指導」です。それだけ後輩指導に悩む中堅社員が多いということです。その原因として2点挙げらます。1つは組織としての明確な方針がないまま、全てが指導をする中堅社員任せにしてしまっていること。もう1つは指導をする社員自身、指導方法を系統立って教えられた経験が少ないということです。

育成計画を立てよう

 どうすればよいのか分からないままその時の思い付きで指導をしてしまうと、指導する側は、どこまで指導したか整理出来ず「抜け」や「ダブリ」が生じてしまう恐れがあります。また、指導される側はその場では分かったつもりでも、系統立った理解がしづらく、混乱してしまう可能性があります。その結果かえって育成が遅れてしまうことにもなりかねません。

 このような事態を防ぐためには「育成計画」を立てることが必要です。まずは育成目標(あるべき姿)を明確にしたうえで現状を把握します。そして、あるべき姿と現状の差を育成部分とし、何のために(What・Why)、誰が(Who)、いつまでに(When)、どのように(How)、どこまで(Where)、のいわゆる「5W1H」に照らし合わせて育成計画を策定します。

 策定した計画は指導を担当する中堅社員だけでなく、指導される社員に関わる全ての社員と共有することも必要です。そうすることによって、直接の指導担当者以外の社員でも、状況に応じたサポートが可能になるからです。「職場全体で育成する雰囲気」を醸成するための土台作りが大切です。

指導の5つのステップ

 実際の指導では「5つのステップ」を意識しながら順序立てて指導します。

<ステップ1>「動機づけをする」

なぜその仕事をやってもらうのか。例えば「こうなって欲しいから、今この能力を身に付けてもらいたい」等、具体的に伝えると良いでしょう。

<ステップ2>「説明してやってみせる」

手順を追って、実技を交えながら説明します。その際には模範となるように正確に、また省略せずにやることが重要です。

<ステップ3>「やらせてみる」

まずは自分でやってもらいます。理解度を確認するため、本人に説明させながらやってもらうのも良いでしょう。

<ステップ4>「評価する」

出来ていたら出来たことを褒めて(認めて)ください。

<ステップ5>「フォローする」

出来た場合には任せる、さらに難しいテーマへ挑戦させるなど、次の段階に移ります。出来なかった場合には、“なぜか?”を共に考えます。その際には指導方法に問題がなかったかも振り返る必要があるでしょう。

「やってみせ 言って聞かせてさせてみせ ほめてやらねば人は動かじ」

これは山本五十六(1884~1943:連合艦隊司令長官)が残した人を育てるうえでの心構えを示した名言です。この一言に、指導の5つのステップが全て含まれています。指導する側が、心に留めておきたい言葉です。

 

このページに関するお問い合わせ

総務研修

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233