債権管理に関わる消滅時効の見直し

印刷

最終更新日: 2018年4月17日

 2020年4月1日に施行される改正民法で、消滅時効について見直しがされています。ここでは、以下の3点に絞って説明します。

時効期間と起算点を見直してシンプルに

 まず、現行民法における債権の消滅時効の期間は、原則「権利を行使することができる時から10年」としています。ただ、この原則のほかに、飲食代金や宿泊費などは1年、工事請負代金は3年など、職業別に1~3年の短期消滅時効があるほか、商法で定められている商事時効5年などがあります。このため、ある債権にどの時効期間が適用されるのか複雑で分かりにくく、時効期間も職業別でなぜ違うのか合理性に乏しいという問題がありました。
  この点について改正民法では、(1)「権利を行使できる時」(客観的起算点)から10年で時効消滅するという現行法の規定は維持しつつ、(2)「権利を行使することができることを知った時」(主観的起算点)から5年で時効消滅する旨の規定を新たに設け、複雑な職業別・商事時効を廃止しました。(1)又は(2)のいずれかの期間が到来することで消滅時効は完成することになります。

 人身損害の特例で被害者保護を厚く

 二つ目は、生命・身体の侵害による損害賠償請求権(人身損害)の特例です。消滅時効の対象となる債権には、交通事故などの不法行為や安全配慮義務違反などの債務不履行に基づく損害賠償請求権も含まれます。こうした生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、前述の客観的起算点による時効期間を10年ではなく、20年とする特則が設けられました。また、不法行為による損害賠償請求権は、一般には原則として現行法と同様に、損害及び加害者を知った時から3年間で時効消滅しますが、人身損害の場合の時効期間は5年間とする特則が設けられました。

 時効の中断・停止の見直し

 三つ目は、時効障害事由である中断、停止の見直しです。改正法では、中断が「更新」、停止が「完成猶予」へ用語が改められました。更新は、債務の一部弁済などによりそれまで経過した時効期間がリセットされ、新たな時効が進行することを意味します。完成猶予は、訴え提起や支払督促などの各事由が終了するまでの間は、時効が完成しないことを意味します。また、新たな完成猶予事由として「協議による時効の完成猶予」が設けられました。

 詳しい内容については経済月報2018年4月号の相談コーナーで紹介しています。是非ご覧ください。

 

 

 

 

 

このページに関するお問い合わせ

経営相談

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233