モデルベース開発手法で電子回路の設計・開発期間を大幅短縮
マリモ電子工業 株式会社

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最終更新日: 2018年3月9日

   マリモ電子工業株式会社は、電子回路から中に組み込むプログラムまでハード・ソフトウエア双方で高い技術力を有する設計・開発企業です。
 2011年に打ち上げられた信州発の超小型衛星「ShindaiSat (愛称:ぎんれい)」の開発にも関わり、発光ダイオードの可視光を利用した宇宙とのデータ通信の技術開発・支援をしました。また、最近は経済産業省の「地域未来牽引企業」に選ばれ、地域のけん引役が期待される企業です。

 

▲本社外観

技術力が認められ大手企業のパートナーに

   近年、高速・無線通信用の高密度集積回路(FPGA)を使った電子回路の設計が増えるなど開発環境が複雑化する中で、いかに設計・開発を簡易化し開発期間を短縮できるかという課題が高まっています。そうした中、同社は09年に「モデルベース開発(以下、MBD という)」という手法をいち早く導入し、開発期間の短縮化を図ってきました。この手法は、製品の制御ロジック(ソフト)や制御対象(ハード)を、コンピュータでシミュレーションできるモデルを利用したもので、従来の、製品を試作する手法に比べ開発期間を大幅に短縮することができます。この手法を駆使し、14年に「ベクトル・ネットワーク・アナライザ」(以下、VNA という)という電子回路網を解析する測定機を、約半年という驚異的な速さで開発することに成功しました。このVNAを半導体商社大手であるアヴネット(株)に開発事例として紹介したところ、この手法を活用した同社の開発力・技術力の高さが注目されました。
 これが契機となり、MBD 開発ツール販売のMathWorks 社( 米国) との間でビジネスパートナーとなることができ、さらに半導体デバイス製造大手のAnalog Devices 社(以下、ADI 社という、米国)との間でも日本初のアライアンスパートナーの認証を受けることにつながりました。
 現在、MBD を使いADI 社と共同でノイズが電波の障害となることが多い工場内利用を想定した2.4GHz/5GHz帯広帯域無線通信技術の実用化に向けて基板の設計・開発を進めています。これは、データ伝送の複数のチャネルを持ち、ノイズの障害を受けていないチャネルに瞬時に切り替えることで、画像データ等のスムーズな伝送を可能とするものです。 
 また、自動車関連大手企業との新規取引や、放送技術研究所、大学等の研究機関との共同研究も始まり、ビジネスの幅が広がっています。

▲広域帯通信をしつつ使用チャネルを適応的に選択する無線通信技術の原理説明図

 電子技術開発力で社会の発展に貢献

 目指す経営の姿は、社名のマリモに込められています。それは「生き物のマリモのように、急に大きくはならないが、景気や社会情勢に左右されずに着実に成長すること」です。開発能力を着実に向上させてきた結果、人手不足とは無縁に人材が集まる好循環も生まれています。
 最新技術が飛躍的に進化する中、モデルベース開発手法を駆使し「電子技術開発力で社会の発展に貢献したい」と清水社長は熱い思いを語っています。
 

 

マリモ電子工業 株式会社

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