新卒採用活動のポイント

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最終更新日: 2017年1月31日

 大手企業の積極的な採用姿勢とともに、学生の大手志向も強くなっています。今後もこの傾向は変わらず、中小企業にとって新卒採用は厳しい環境が続くものと思われます。

 採用活動のプロセスは、採用計画作成といった事前準備から、「募集」→「書類選考」→「面接」→「内定」→「入社」と進みます。大事なことは、採用活動における自社の課題がどこにあるのかを把握し、対策を講じていくことです。本稿では「準備」「募集」「面接」「内定後」のプロセスについてのポイントや留意点をみていきます。

採用は全社で取り組む課題と考える

 新卒採用はとかく、人事担当者任せになりがちですが、それでは現在の採用難の状況には対応できませんし、そもそも会社の将来を担う人材の獲得は重要な経営課題です。経営者を含めて全社で共通の認識を持ち、若い社員をリクルーターとして活用するなど準備態勢を強化する必要があります。

 学生が企業を選択する際「一緒に働きたいと思える人がいる」ことは重要な基準の一つです。人事担当者だけでなく、経営者や現場の若手も交えた「社員の顔が見える」採用活動は、中小企業の強みを生かしたアプローチと言えます。また、社内挨拶等の気持ちの良い対応は学生に好印象を与え、内定辞退の防止にもつながります。

インターンシップを活用する

 募集の際の留意点は、就活サイトや企業説明会といった「マス」の活動に頼りすぎないということです。採用予定人数にもよりますが、大手企業と同じ手法に絞らず、学校の就職課への訪問、社員や取引先の縁故、ソーシャル・リクルーティング等間口を広げることが重要です。

 また近年は、採用戦略の視点からインターンシップを実施する企業が増えており、学生の60%以上が参加しているというデータもあります。この段階で志望業種や企業を絞っている学生も多いため、企業としては学校訪問等でインターンシップに学生を集め、その後の採用ステップにつなげていくことが有効な手段となります。従って、学校へは定期的に訪問し、情報提供をすることにより良好な関係をつくっておくことが大切です。

 インターンシップの実施は短期間で十分ですが、自社の良さを体験できるプログラムを工夫し、「やりたいことができる」「会社の雰囲気がよい」と感じてもらう機会とします。併せて、懇親会を行うことにより学生の本音を引き出しながら信頼関係をつくり、良いと感じた学生には、実施後にコンタクトをとっていきます。

今の学生の特徴を理解して面接する

 最近の学生は「素直でまじめ」だが「おとなしく、積極性に欠け、競争意欲に乏しい」と言われています。

 企業はこの学生の特徴を理解し、求める人材像に合致しない部分があっても簡単には不採用とせず、入社後の教育で伸びる可能性も見極める必要があります。例えば、面接は複数回行うことにして、1回目の最後に何かアドバイスを行い、2回目の際にアドバイスへの取組み姿勢や改善度合などを確認する方法も有効です。

内定者のフォローにより帰属意識を高める

 内定の連絡の際は、面接等で良かった点は何かを説明し「自社にとって必要な人材である」ことをしっかり学生に伝えることが、学生の納得感や満足感を高めます。

 その後は、研修、課題の提出といった方法で学生とのキャッチボールを続けるとともに、会社のイベントへの参加を呼びかけるなどして帰属意識を高めていきます。

 このように内定者に対しては、取引先との関係を深めていく営業活動と同じようにフォローしていくことが大切です。

(本情報は、経済月報2017年1月号の相談コーナーに掲載した記事を加筆修正したものです)

    (上席コンサルタント 矢野丈継)

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