飲みやすい下痢止め薬「百草錠」の誕生
日野製薬株式会社

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最終更新日: 2016年9月12日

  医薬品の製造・販売を手掛ける日野製薬株式会社は、このたび百草の錠剤化に成功し、今年7 月「百草錠」を発売しました。これまでも「百草丸」が胃腸薬として県民に広く愛用されてきましたが、百草を錠剤化することで体に優しく作用する下痢止め薬を誕生させました。 

日野製薬本社
日野製薬本社

キハダから作られる「百草」

 百草は、江戸時代に御嶽山に修業に訪れた修験者により製法が伝授されたと伝えられており、キハダに数種類の生薬を加えて煎じ詰めて作られましたが、現在はキハダだけを煮出し煮詰めて作っています。キハダは、健胃整腸薬としてだけではなく、切り傷、貼り薬、目薬などとして幅広く利用されてきました。有効成分のベルベリンには下痢止め、消化促進、消炎、抗菌などの作用があります。  

「百草丸」の誕生

 百草は、江戸時代から中山道の藪原宿で旅籠を営んでいた同社のルーツである日野屋が、御嶽登拝の信者や旅人に販売していました。当時は竹の皮に包んだ板状の薬でした。
 「百草丸」として丸剤が本格的に製造されるようになったのは、1950 年代後半に入ってからのこと。板状では飲みづらいという声に応えてのものでした。ところが、エキス製剤を丸めただけの丸剤は互いにくっついてしまい、製品化には時間がかかりました。オウバクエキスにビャクジュツ末、ゲンノショウコ末を配合し、コーティングを施し丸剤として開発にこぎ着け、今日に至っています。なお、同社は1947 年に日野製薬合名会社として法人化され、67 年に現社名に改されています。

百草錠

飲みやすい「百草錠」の開発

 胃腸薬は市場規模が小さく、競争が激しい。最近では、若い世代が丸剤より錠剤を選ぶ傾向があり、錠剤開発の必要性が高まっていました。ところが、生薬を原料とした錠剤は製造が非常に難しく、製品化されているものはありませんでした。そこで、岐阜薬科大学の竹内洋文教授の指導のもと研究を開始し、10 年を掛けて薬事承認を得ることができました。現在、このノウハウが詰まった機械設備を本社で見学できるようになっており、小学校などからの申し込みが多いようです。

若い人の過敏性腸症候群による下痢に効果

 ストレスにさらされることが多い今日、若者の過敏性腸症候群が増えています。日本人のおよそ10~15%に症状が認められ、消化器科を受診する人の三分の一を占めるほどになっています。「百草錠」は、この過敏性腸症候群による不快な下痢などの症状に効果があります。しかも生薬で作られているため、毎日服用しても副作用は心配は限りなく少ない。
 「若い人からお年寄りまで、多くの人の健康のため、新たな製品を開発していきたい」。老舗企業の挑戦は続きます。

日野製薬株式会社

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