期待されるコンビニを活用した官民連携の「健康支援」
松本市とローソンが連携し、「まちかど健康相談」を実施
昨年政府が発表した第三の矢「日本再興戦略」では、医療費抑制の観点から「予防医療」を重点施策の一つとし、行政や企業に対して、国民が健康維持・増進を図れるさまざまな社会の仕組みを構築していくことを求めています。
こうした中、健康寿命延伸都市を推進する松本市は、11月に株式会社ローソンと「松本市民の健康づくりに関する協定」を締結し、「まちかど健康相談」を実施するとしました。これは、松本市内のローソン店舗の駐車場で、市保健師による来店者および近隣住民向けの健康相談や血圧測定、体組成計検査の実施や健康診断受診の勧奨を行い、松本市民の健康づくりを推進するというものです。
さらに、ローソン店舗内の情報コーナーを活用して、市の健康イベントや健康講座、健康診断などの告知や案内を掲示し、来店する市民が健康に関する情報を手軽に入手できる環境も提供していくとのことです。
兵庫県尼崎市は、全国初の「コンビニ健康診断」を開始
全国では、兵庫県尼崎市が松本市に先行する形で10月にローソンと提携し、全国初の「コンビニ健康診断」を始めています。同市では市内のローソンの駐車場に医師と看護師が健診車で出向き、血液・尿などの検査や医師による診察を行うというものです。健診日は土日のいずれかに設定し、市の国民健康保険に加入している40~74歳の対象者だけでなく、22歳以下の市民らも無料で受けられるなど対象者を拡大し、料金体系も工夫して「健康診断の受診率の向上」を目指しています。
2011年度の同市の健康診断受診率は39.1%で県平均(31.6%)を上回るものの、全国平均(45%)を下回っていました。そこで身近な買い物の場であるコンビニなら健康診断を気軽に受けられると考え、ローソンに協力を打診。同社も全国展開に向けたモデルになると受け入れたものです。
「マチのほっとステーション」から「マチの健康ステーション」へ
提携先のローソンは、昨年秋に、自社の新たなコンビニエンスストアモデルを発表し、スローガンをこれまでの「マチのほっとステーション」から「マチの健康ステーション」に変え、地域の「健康一番店」を目指すとしています。お客様や地域にとって身近な存在というコンビニの強みを生かし、「お客様の健康長寿の暮らしをサポートしたい」と考えたからとのことです。
官民連携による「健康支援」の動きに期待
こうした取り組みは、市民の健康づくりの推進や健診受診率を向上させたいとする松本市や尼崎市と、地域社会から頼られる「健康ステーション」を目指したいとするローソンとの思惑が合致した官民連携の好事例といえます。超高齢化社会を迎え、老若男女を問わず予防医療の重要性が高まる中、地域住民の健康の維持・増進を支援していく官民連携の取り組みの普及が望まれます。県内事業者の予防医療分野への挑戦も期待されます。
(2014.1.27)
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