「健康経営」のすすめ

関心高まる「健康経営」

 6月14日に閣議決定された、日本経済の再生に向けた3本目の矢である、「日本再興戦略~JAPAN IS BACK~」に医療費抑制が盛り込まれ、企業も医療費抑制に資する取り組みが求められています。こうした中、企業では健康保険料の負担軽減にもなる「健康経営」への関心が徐々に高まっています。「健康経営」とは、社員の健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで、社員の健康の維持・増進と企業の生産性向上を目指す経営手法のことです。背景には、ア.少子高齢化による労働力人口の減少、イ.生活習慣病の増加等による医療費の増大、ウ.メンタルヘルス(心の健康)不調者の増加、エ.外部環境の変化による経営合理化があり、企業にとって今後労働力の維持・確保とともに生産性の向上や事故・不祥事の発生防止のため、社員の健康づくりを進めることが重要な経営課題となってきます。

「健康経営」は社員の“健康状況の確認”からスタート

  「健康経営」では、企業が社員の健康状況(リスク)を把握して、社員の健康づくりの推進を積極的にサポートし、ア.生活習慣病の予防・改善、イ.メンタルヘルス(心の健康)不調者の予防・改善に努め、社員が心身ともに元気に働ける環境にしていくことが必要です。
  「健康経営」で、まず実施することは、社長や人事総務担当者が社員の健康診断結果を収集して、健康状況をチェックすることです。健康診断の受診率そのものが低かったり、再検査の通知を受けた社員が、「時間がない」、「必要性を感じない」、「検査結果を聞くのが怖い」などの理由によって、再検査を受診しない例が多く見受けられた場合は、社長や人事総務担当者が積極的に社員の背中を押して、受診率の向上を図ることが求められます。社員がどのような健康状況にあるのかを把握することが重要で、次の一歩につながります。「健康経営」の実施ステップは、表1のようになります。

表1 「健康経営」の実施ステップ
ステップ1 健康づくりの基盤構築
・社員の健康状況の把握
・健康課題の明確化と社内共有
ステップ2 社員への情報発信
・健康づくりの大切さを社員へ情報発信
ステップ3 「健康づくり」の推進
・健康づくり案の検討
・チャレンジウォーキング、食事指導 等
ステップ4 「健康づくり」の効果検証・改善活動
・社員の健康づくりの参加・実施状況の把握
・健康づくりの効果検証と改善策の検討

「健康経営」のメリット

 「健康経営」に取り組むと、企業は表2のようなメリットが期待できます。
この中で、健康保険料負担の抑制は、企業の経費軽減につながるだけでなく、わが国の医療費抑制にも寄与するものです。「治療から予防へ」舵を切り、社員の健康づくりを支援する「健康経営」により多くの企業が取り組むことが望まれます。

表2 企業が得られるメリット
生産性の向上 負担軽減
・モチベーションの向上
・業務効率の向上
・疾病手当の支払い減少
・健康保険料負担の抑制
イメージアップ リスクマネジメント
・企業価値の向上
・対内的・対外的イメージの向上
・事故・不祥事の予防
・労災発生の予防

(2013.9.11)

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