市民マラソン大会が地域に与える効果

 全国各地で市民マラソン開催の動きが活発化しています。全国、世界各地からランナーを呼び込み、地域活性化につなげようという動きといえます。
 全国的なマラソン・ランニングブームに火をつけたのは、2007年2月から開催されている東京マラソンといわれています。一昨年秋から昨年春にかけて、大阪マラソン、神戸マラソン、熊本城マラソン、京都マラソン、名古屋ウィメンズマラソン、昨年秋には、ちばアクアラインマラソンが初開催されるなど、マラソン人気は衰えをみせません。
  全国各地で開催されるフルマラソン大会の主催者はその経済効果を期待し、さまざまな大会盛り上げの方策を競い合っているのが現状です。

マラソンブームの背景と地域活性化

 月刊「ランナーズ」を発行するアールビーズによると、10キロ走やハーフマラソンなども含め、国内で2010年に開催された市民参加型マラソン大会は約1,500ということです。日本陸連が公認した約50のフルマラソン大会で完走した市民ランナーは、2004年度は78,000人。2009年度は2.1倍の166,000人に増えています。
 マラソンブームの背景としては、東京マラソンの影響のほか、(1)高齢社会が加速する中での健康志向の高まり、(2)手軽で安価に参加できること、(3)ウエアのファッション性向上に伴う女性ランナーの増加などが考えられます。
 全国の自治体でも、このマラソンブームを好機と捉え、大会を通じての地域おこしに力を入れています。レース名に地域的特色を冠する、コースを観光地周遊型に設計する、参加賞や会場へのブース出展を通じて特産品を提供するなど、地域の活性化につなげようとさまざまな取組を行っています。
 また、大会の開催により飲食・宿泊支出などの経済効果もみられます。大会当日は、多数のランナーや応援者が来訪し、地元のコンビニ、ファーストフード店、ショッピングセンターなどの売上が増加。また、県外ランナーの参加により宿泊施設の稼働率の上昇もみられます。さらに、来訪者が地域に魅力を感じ、その地域を再び訪れる機会が増えることにより、継続的な地域活性化も期待できます。

他地域に先駆けて始まった長野オリンピック記念長野マラソン大会

 4月21日に開催される長野オリンピック記念長野マラソン大会は、その名のとおり長野冬季オリンピック開催の翌年の1999年に始まり、今年で15回となります。昨年実施の第14回大会は10,046人がエントリーしましたが、今年は昨年を上回る10,806人がエントリーしています。海外からの申込者も年々増え、昨年は139人でしたが、今年は香港からツアーによる参加者47人を含む232人がエントリーするなど人気を集めています。
 長野マラソン実行委員会では、昨年の大会について、マラソン参加者へのアンケート調査などを基に宿泊費、交通費などを推計し、大会運営費などを加えて経済波及効果を9億5,330万円と算出しました。県外からの参加者が約6割で、そのうち77%が宿泊し、ランナーの同行者も4,000人程度宿泊したと推計されることから、下関海響マラソンの4億4,290万円(2011年、下関海響マラソン実行委員会調べ)、愛媛マラソンの2億9,227万円(2012年、いよぎん地域経済研究センター調べ)など同規模の地方都市マラソンと比べて、経済効果が高くなったと考えられます。

地域活性化に向けた今後の長野マラソン大会への期待

 長野マラソンの魅力は、信州の豊かな自然、「オリンピック記念」の名にふさわしい国際色、ランナーの満足を第一に考えた大会運営と、活気あふれる観客、ボランティアの気配り、など数多くあります。
 こうした魅力が多くの人を呼び、消費を促し、経済波及効果に寄与したものと考えられます。今年の大会は昨年を超す規模となるため、地域に与える経済効果も昨年を上回るものと見込まれます。
 参加者の記憶に残るおもてなしや沿道の声援により、来年以降もまた来たいと思ってもらえる大会にするとともに、このイベントを、より地域活性化につなげていくためには、長野市近隣への周遊を意識し、「もう1泊」したくなるような観光地を周遊する小旅行プランの企画・提案やマラソン参加者・同行者に対する温泉・飲食・土産物の割引券提供など地域をあげた取組が必要です。

(2013.4.17)

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