ソーシャルメディア(SNS)を活用した長野県内企業のビジネス展開

 2010年初頭から日本でもブームになった「Twitter(ツイッター)」や世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス「Facebook(フェイスブック)」などに代表されるソーシャルメディアのビジネス利用が拡大しています。

「人のつながり」を基盤に発信・共有され、情報が広がっていくソーシャルメディア

 会員制の交流サイトが良く知られているが、同じ関心や共通の趣味を軸につながった人々のコミュニケーションや活動をさまざまな形で支援する機能を持っています。
 最近では、SNSの持つこのような情報の共有や拡散の機能を行政サービス、地域づくりやビジネスに活用する動きが広がってきています。

売上拡大(販売促進)とコスト削減(業務効率化)に大別される、SNSのビジネス活用

 まず、売上拡大、販売促進への活用としては、自社の商品・サービスの提供を目的とした広告・宣伝活動があります。
 具体的には、県内でもホテル・旅館業において、フェイスブックを活用し、料理のメニューの紹介や、近隣の観光スポットに関する情報提供をすることによって、自社の宣伝を行っています。また、宿泊客からは、おもてなしに関する感謝のコメントが寄せられるなど、企業と消費者の双方向のコミュニケーションツールとして活用されています。
 また食品製造業でも、南信地方の味噌製造業で、約1年半まえからフェイスブックを活用し、みそのできるまでを紹介したり、みそを使った料理のレシピを英文で発信して、販売促進につなげています。
 中古車販売店を2店舗運営している南信地方企業でも、フェイスブックを活用して、納車した車の情報や購入者の声を紹介しています。
 このほか、東信地方のそば屋や商店街がツイッターを活用して、メニューやセール情報、イベント情報を発信して集客につなげるとともに、消費者との双方向のコミュニケーションを実現しています。
 このような販売促進やコミュニケーションツールとして活用する動きに加え、最近では、SNSを企業の業務効率化や商品開発に活用する例もみられます。
 南信地方の設計開発業では、社内SNSの導入によって、大容量ファイルを効率的に共有する環境を実現し、大容量のデータをやり取りする手間や管理から解放され、メールが4割削減。社内外のコミュニケーションもスムーズになったといいます。
 中信地方の畳製造業では、新商品開発前からツイッターを通じて協力者づくりを実施。複数のデザイナーと付き合い、デザイナーのネットワークを生かして国内外のチャネルを開拓。端材として捨てられていた丈の短いい草を活用し、現代のライフスタイルに合わせた新しい畳を開発した。ツイッターできめ細かに開発の経緯や加工の様子を紹介し、協力者やファンづくりにも役立っています。

社内の情報漏洩やマイナスイメージの拡散などのリスクに備えたビジネス活用が課題

 このように長野県内企業ではSNSのビジネス活用例として、(1)情報の発信や取引先との関係強化、(2)自社商材に関心を持つプロジェクトでの情報共有、(3)定期的な情報提供や顧客ニーズ発掘により、売上向上・販売促進や業務効率化・コスト削減に役立てているといえます。
 SNSをビジネスに活用するためにはリスク管理が必要です。情報を拡散されるパワーを持つSNSは、一方で企業にとってマイナスの情報も、猛烈な勢いで拡散させます。実際、社員の無意識な一言が会社を窮地に陥れる事件も発生しています。SNSのメリットを十分に享受するためにも、リスクを正しく理解し、運用ガイドラインを作って、運用ポリシーを社員相互に共有する必要があるでしょう。

(2012.11.20)

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