売れる地域資源商品の開発に消費者の声を生かす
長野県では、変化に富んだ自然環境のもと、多様な農林水産物が生産され、全国シェア第1位の産物もレタス、野沢菜など多数存在しており、それらを活用した特色ある地域食品や伝統食品などが生産されています。また、長い歴史と文化、豊かな自然環境や水・森林資源に育まれた多数の伝統工芸品が生産されています。
これらの特色ある地域資源は、地域外への市場開拓、需要拡大の観点から重要な差別化要素となり得るものです。
しかし、長野県は地域資源を活用した競争力の高い産業の創出、県外・国外へのビジネス展開、事業拡大という面では十分な取り組みができていないといわれてきました。なぜでしょうか?
売れる地域資源商品の開発には、消費者の声を生かすことが必要
売れる地域資源商品の開発には、加工食品などの企業が、農産物などそれぞれの地域資源を用いて、その商品性、対象購買層、価格、流通ルートなどを検討するところから始まります。したがって、マーケティング力が大変重要です。
そもそも、地域資源の価値は、消費者・顧客が認めて初めて「価値」となります。
しかし、長野県の地域資源関連産業は、総じて小規模で経営基盤が弱く、課題として「販路開拓」を挙げる企業が7割を超えるなど、マーケティング力が弱い企業が多いという実状があります。
マーケティング力が弱いと、原料の選定や価値の認識を誤り、あるいは、作り手側の論理による商品化・事業化となる結果、消費者・顧客に受け入れられず、地域資源を活用した事業化の取組が減少したり、地域内での消費に向けた事業化にとどまるという悪循環に陥ります。
開発した製品が売れる地域資源商品へと価値を高めるには、企画、設計から製品化に至る各段階で、顧客の「買い手感覚」を汲み上げ、分析結果を製品に反映させることが重要です。
長野県が県内事業者の商品開発を支援するため、消費者に対するアンケート調査会を実施
ただ、現実には、個々の事業者が、多くの消費者の「買い手感覚」の意見を独自に調査することは、人的、時間的、費用的に困難です。
そこで、2008年4月から県内の地域資源を活用した製品開発を支援してきた長野県地域資源製品開発支援センター(工業技術センター環境・情報技術部門)では、2011年6月末までの支援で商品化に至った100件の製品や、支援途中の製品について消費者の声を聞き取り「より売れる商品」づくりに活かすためのアンケート調査会を、「地域資源製品消費者モニタリング事業」として、2010年度から実施しています。
調査会場では、商品の味・食感や使いやすさなどの機能といった基本の価値、顧客の目に留まりやすいパッケージやラベルのデザインなどの感性の価値、それに値ごろ感などを、実際に試食、試飲、試用してもらうことにより、その後のアンケートで多くの感想を得られます。
これによって、事業者は、商品の改良や販売方法を見直すための貴重な情報を得ることができ、消費者視点に立った商品開発を行うことができます。
今年度1回目の調査会は7月8日~11日に長野市内で実施し延べ1,000人がアンケート回答
今年度は長野経済研究所が運営しています。1回目の調査会は、長野市のケーズタウン若里で7月8日(金)~11日(月)の4日間行われ、10事業者の19商品が出品されました。天候にも恵まれ、4日間に多くの皆さんが来場し、試食、試飲、試用し、会場は大盛況。延べ1,000人の皆さんがアンケートにご回答いただきました。
今後も、今年12月まで県内各地のスーパーや道の駅などを会場としてキャラバンしながら消費者モニタリングと商品PRを行い、調査結果を「より売れる商品」づくりに活用していきます。
第2回は安曇野市で7月末に実施し、第3回以降の調査会の予定も長野経済研究所のホームページでお知らせしています。
今後も、売れる商品づくりに向けたこうした取り組みを地域の産業支援機関として支援していきたいと考えています。
(2011.7.27)
関連リンク
公共ソリューショングループ
電話番号:026-224-0504
FAX番号:026-224-6233