高等専門学校の持つインフラを活用した若手・中堅技術者育成講座の展開

 長野経済研究所は国立長野工業高等専門学校と共同で、経済産業省「高等専門学校等を活用した中小企業人材育成事業」の委託を受け、地域産業の発展をめざし、若手・中堅技術者の技術力向上を支援するため、関係各団体のご協力を得て、県内企業のニーズにお応えした講座を開講しています。

熟練技能者の持つノウハウ継承など課題の多い中小企業の人材育成

 わが国中小企業は、優れた技術力を有し、高い信頼性と性能を持つ部品・材料を最終製品に提供しており、わが国製造業の国際競争力を支えています。
 しかしながら、こうしたものづくり中小企業においては、人的、時間的、金銭的な経営資源の不足により、自社内で十分な人材育成を実施する余裕がないのが現状であり、人口減少社会の到来や若者のものづくり離れ、さらには「2007年問題」と言われる団塊世代の大量退職という状況にあっては、熟練技能者のもつ技術・ノウハウの継承や若手技術者の育成が重要な課題となっています。
 こうしたことから、今回の事業は、中小企業の現場技術者を育成するため、全国各地域の高専等が有する設備やノウハウを活用し、地域の中小企業のニーズに即した講義と実習を一体的に実施するとともに、中小企業の社外人材育成の場を整備することを支援するものです。
 これにより、設定されたテーマについて、体系的な理論を学び、技術・技能を修得して、企業の生産現場で実践できる応用力を備えた技術者を育成することを目指しています。

長野県内での実施カリキュラムの特徴

 長野県内では「製品・商品開発ができる技術者育成支援プログラム」を実施しています。これは、県内各地に集積する製造業の若手・中堅技術者を対象に、地域の固有技術を活用し、自ら独創性のある製品・商品を開発することで、企業革新をリードできる人材を育成する内容です。これにより、これまで蓄積されてきた電子部品加工、精密加工の要素技術、ノウハウを継承、向上させ、「電子デバイス・スーパーモジュール製造の長野・上田」「精密工業の諏訪」などという地域技術ブランドの向上を支援することを目指して、実習・演習なども盛り込んだ実践的な講座を実施しています。
 平成18年度の事業開始以来、平成19年度末までの2年間で集合講座500名、eラーニング400名の皆さまに受講いただき、多くの企業の人材育成ニーズにお応えしています。

「利益をもたらす」改善法実践講座(中級)の演習風景

今年度は講座数・開催場所を拡大して実施中

 今年度も既に6月から開講しており、「実習用ボードを使った実践的組込みマイコン講座」や「公差設計・解析講座」など、昨年度ご好評をいただいた講座を継続して開催するとともに、新規講座として若手技術者向けには「シミュレータを使った実践的電子回路講座」を、中堅技術者向けには昨年度実施した「品質管理」や「新商品開発」などに関する中級編・上級編の講座を新設しています。
 長野高専のほか上田市、佐久市、下諏訪町に会場を拡大し、各企業の受講ニーズに対応しています。
 「組込みマイコンを使うためのC言語講座」については、業務多忙や会場までの距離など地理的条件などにより、会場での開催講座に参加する時間を作ることが難しい方々をはじめ多くの皆さんがC言語の基礎を習得できるように、インターネットで学習するeラーニング教材を開発中です。
 この事業は経済産業省の委託事業であり、受講者の負担はテキスト代、教材費のみです。企業の人材育成の一手段としてこの機会を是非ご利用ください。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

(2008.8.19)

実習用ボードを使った実践的組込みマイコン講座(中級)での実習風景

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