経済月報2006年7月号

新しい時代への変革を進めるドイツ中小製造業(下)-ドイツ・ザクセン州の挑戦-

挿絵

前回のレポート(上)ではドイツ中小製造業視察の概要について報告し、その特徴を経営戦略、技術革新、人材育成、職場環境、周辺諸国との関係などの視点からまとめた。そこで明らかになったのは、厳しい国際競争に晒されながら、独自のものづくりをしっかりと実践するドイツ中小製造業の姿であった。

どの企業もライバル企業に負けない技術力をベースに、得意分野への選択と集中を図り、経営システムも市場サイズや技術分野に応じて、企業連携、グループ傘下、家族経営などと柔軟に選択している点がうかがえた。技術や技能についてみれば、依然としてマイスター制度が製造現場の末端まで浸透していたし、専門技術者の育成システムとしてのデュアルシステムと車の両輪のように、しっかりと機能していた。

拡大するEU市場、それを取り巻く経済のグローバル化が進む中で、自らの存在を維持し更なる展開を模索するドイツの中小製造企業群。このようなたくましい中小製造企業群が独自の力を発揮している背景には何があるのか。地域のサポート体制が強力な応援団として、大きな役割を果たしているのではないか。

今回のレポートでは、ドイツ中小製造業の強さを確認し、特に旧東ドイツの中で伸張著しいザクセン州でみられる地域の総合戦略に焦点をあてて、今後の長野県の産業育成を考える手がかりとしたい。

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