スキー場のグリーンシーズン営業に欠かせない3つの視点<2023.8.10>
経営の安定化に向けたグリーンシーズンの誘客
県内のスキー場は、スキー人口の減少や温暖化に伴う少雪の影響に加え、近年は新型コロナウイルスの感染拡大もあり、厳しい経営環境下にあります。そうした中、展望テラスやレストランなど誘客施設の増強や、地形・自然を生かした新たな体験型アクティビティの導入などにより、ウインターシーズンだけでなくグリーンシーズンも誘客を目指して営業を行うスキー場が増えています。
スキー場がグリーンシーズンも営業を行う上で欠かせない視点として、「収益確保」、「人材の確保・育成」、「ブランド力向上」の3つが考えられます。
視点(1):収益確保
スキー場の経営を安定させるためには、営業の通年化を図ることが重要です。そして、グリーンシーズンの営業には、その起伏に富んだ地形や森林・草花といった自然環境を生かすことはもちろん、そこでしか体験できないようなアクティビティや魅力的なコンテンツの存在が欠かせません。
こうしたハード面やソフト面の工夫が他のスキー場との差別化につながり、差別化によりアクティビティやコンテンツなどの利用料を優位に設定でき、収益性の高い事業を行うことができるようになります。収益性が高い事業を行い安定的に収益を確保できるかどうかは、スキー場の通年営業を考える上で最も重要な視点です。
視点(2):人材の確保・育成
収益を確保するためのハードやソフトを支える人材が確保できなければ、営業を継続することはできません。加えて、彼らの知識やスキルはお客様に提供する付加価値の源泉です。
スキー場のグリーンシーズン営業で最も重要な視点である収益確保は、「人材の確保・育成」の上に成り立っていると言っても過言ではなく、重要な視点となります。
視点(3):ブランド力向上
県内のスキー場は、ウインタースポーツを楽しむ場として既に一定のブランド力を持っています。そのブランド力を冬季だけでなくグリーンシーズンも兼ね備えることは、「通年型リゾート」としてのブランド力を高めることにつながります。そのためには、グリーンシーズンの誘客を一過性のブームで終わらせず、継続させる努力をするとともに、リピーター=ファンを増やすことが重要です。
通年型リゾートへのステップアップ
上記の3つの視点は、いずれも1つ1つ独立しているわけではなく、相互に関連しています。1つでも欠けると事業の存続は困難になってしまいます。
こうした3つの視点を踏まえ、県内のスキー場が冬季だけでなくグリーンシーズンも営業することは、これまでの単機能の「スキー場」から四季を通じて楽しめる「通年型リゾート」へとステップアップしていく第一歩となるでしょう。
※ 経済月報2023年8月号掲載のトピックス「グリーンシーズンの誘客に向けたスキー場の動き」では、上記の3つの視点に沿って、白馬岩岳スノーフィールド、富士見パノラマリゾート、志賀高原観光協会がグリーンシーズンに安定的な誘客を目指す取り組みを紹介しています。ぜひ、ご覧ください。
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