小水力発電機で脱下請けへの挑戦~新井製作所<2023・02・25>
(株)新井製作所(本社:須坂市)は、発泡スチロール用金型を主に製造している企業だ。
新たに開発した小水力発電機が「ものづくり大賞NAGANO2022『きらりと光る技術賞』」を受賞した。
多用な用途を持つ発泡スチロール
発泡スチロールは、衝撃の吸収や保温に優れていることから、ヘルメットの衝撃材や電化製品の包装資材、保冷箱、風呂釜の断熱材などに使われてきた。
最近ではその軽さから、低燃費を競う自動車のサンバイザー、シートの座面や背もたれなどにも用途を広げている。
こうした動きに伴い同社の金型も、より高精度なものへと進化を遂げている。
産学間連携で小水力発電機を開発、製造
同社の金型製造を核としたものづくり力を応用し、開発したのが小水力発電機だ。
再生エネルギーの普及拡大が求められる中、小水力発電機の多くが輸入に頼っている状況を打開しようと手掛けたものである。
部材は須坂市内の企業8社から調達し、技術開発については信州大学工学部飯尾研究室と連携するなど、地域内で産学官連携のスクラムを組んでいる。
例えば、発電所の建屋には同社のプレス機器の防音技術が応用されており、民家の近くでも設置できるように配慮している。
また、小水力発電機の重要パーツであるランナ(水車)の製造には、精密板金・溶接の専門企業が担当し、発電所建設に関わる土木工事は市内の工務店が担っている。
このようにして設置された須坂市の米子地区の発電所では、一般家庭およそ20世帯の電気を賄うことが可能だ
「ものづくり大賞NAGANO2022『きらりと光る技術賞』」を受賞
下請け形態が多い長野県製造業にとって「脱下請け」は長年のテーマだが、同社のように地域のモノづくり力を結集し、最終製品に挑む姿は長野県製造業のあるべき方向性とも考えられる。
こうした取り組みが評価され、ものづくりNAGANO応援懇話会主催の「ものづくり大賞NAGANO2022『きらりと光る技術賞』」を受賞した。
2010年に始まった本表彰制度は、その趣旨として「長野県内の『小さくてもキラリと光る技術』を持つ企業や『最先端技術を支える地道なものづくり』を続ける企業に対して、特に『地域に根ざした継続的な活動』に社会的な評価を行うことで情報発信を通して長野県の技術振興をはかり、幅広く産業を育成、地域のさらなる発展を応援していくものです」(ものづくりNAGANO応援懇話会ホームページ)と記している。
小さくてもキラリと光るものづくり企業の地域に根ざした持続的な活動が、長野県経済を元気にすることを期待したい。
(資料)SBC信越放送「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2023.02.25)
関連リンク
このページに関するお問い合わせ
産業調査
電話番号:026-224-0501
FAX番号:026-224-6233