目指すは世界一、ガス圧力調整器で生命、産業を守る。(株)ユタカ<2022・06・07>
株式会社ユタカは、ガス制御機器の製造メーカーで本社は東京都ながらも、松本市に主力工場を置く。
松本市に立地して30余年、多くの雇用を生み出していることなどからも、既に長野県企業とも言える存在だ。
松本市のクリーンな環境、産業集積、地理的条件などに魅かれ
同社は1956(昭和31)年創業、溶接用の圧力調整器の製造販売を主力に歩んできた。
現在では、溶接向けでは国内シェア1位、半導体向け圧力調整器では世界シェア2位を誇っている。
現在、松本市に主力工場があるが、本社は東京都であり、松本工場は1990(平成2)年に立地したものだ。
松本市に主力工場を立地したきっかけは、半導体向け圧力調整器を手掛け始めたことで東京工場が手狭になり、新たな工場適地を探していたところ、松本市が新しく松本臨空工業団地を造成し、誘致を進めていたタイミングと重なったことだ。
松本市は空気が綺麗なため、クリーンな環境を必要とする同社の製品を作るのに適していることに加え、周辺には取引可能な精密部品を作っている加工業者が多く立地している。そして、全国へのデリバリーにも適している地理的条件などが進出の決め手となった。
産学連携で生命を守る装置を開発
同社では、信州大学などとの連携で新製品も開発している。
「e-アラートMY-03」という新製品は、酸素ボンベ内の圧力が低下するとブザー及びランプ点滅によりガス量の低下を知らせる警報装置だ。
医療現場では、患者が酸素を使用中に酸素ボンベが空になり、生命の危機につながる事例がたびたび報告されていた。
「ボンベが空になる前に警報を発する機器はないものか」。松本市内の医療機関からニーズが上がった。
信州大学には、医療現場の課題に対し県内企業の技術で解決しようとする医工連携の仕組みがある。今般のニーズも医工連携コーディネーターが同社に仲介し、検討を重ねることで製品化が実現した。
「クラウン」にふさわしい信頼の製品で世界トップシェアを
同社の製品は「クラウン」ブランドで広く知られている。この業界でトップを取るという意味を込めて、王冠である「クラウン」をブランド名として商標登録したものだ。
「クラウン」にふさわしい信頼を顧客に提供するため、同社では、圧力をコントロールする心臓部の部品加工から組み立てまで社内一貫生産体制を採っている。
こうした体制により、品質が担保され、さらに顧客の急なオーダーにも応えることが可能となっている。
世界的な半導体不足が叫ばれる中、半導体工場の建設は急ピッチで進められており、同社への増産要請も日に日に増えている。
「半導体向けの圧力調整器のメーカーとして世界ナンバーワンに」同社が掲げる方向だ。
(資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」2022年5月28日放送
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