新人の皆さんへ気張りすぎ注意報~失敗は当たり前の心得~<2022・04・08>
新たな人生の門出にて「上手くいかなくても」心乱さずに
新人の皆さんも新たな会社での生活もこれで1週間、いかがお過ごしだろうか。
まだ慣れない中での、新たな仕事に右往左往している時期かと思う。
そうした中、たとえ失敗しても、社会人生活はそんな事の繰り返しだと考え、あまり落ち込まない方が良い。
世の中は不条理・理不尽で、「上手くいかない事」が当たり前だからだ。
学生時代も上手くいかなかった経験は多少あるとは思うが、社会人になれば一層増える。
そもそも学生時代まではお金を払って学校に行っているため、お客様としての人生だ。一方、働くということはお金をいただく立場となるため、学生時代とは真逆となる。
そのため、お客様としての比較的順風満帆な人生は、打って変わって波乱万丈の人生となる。こう考えておかないと、自分で自分を追い込んで5月病でダウンとなりかねない。
そうならないための心得について考えたい。
自分を追い込んでしまう3つの誤った考え方
人は完璧からはほど遠い存在なのに、自分に厳しすぎる条件を付け自分を追い込んでしまう事が多い。
そのような考え方を変えることで強くなれると説くのは、東京成徳大学名誉教授でカウンセリング心理学を専門とされた国分康孝先生(故人)だ。その著書「負けない自分を作る心理学」の中から教えていただいたことを紹介したい。
本書では、自分を追い込んでしまう考え方として次の3つを上げている。
1つは「私はうまく物事を成し遂げて、私にとって大切な人たちに認められなくてはならない」。
2つは「世間の人々は、私に対して公正に親切な態度で接するべきである」。
3つは「私の身の回りの環境は快適でなくてはならず、大きな困難などあってはならない」。
どうだろうか。日常の生活で思い当たる節は多いのではないか。
学生時代に優秀な人ほどこのように考えがちであるし、既に働いている方も優秀な人はこう考えがちだ。
しかし、先に言った通り、世の中はそうそう上手くいくことばかりではない。「上手く行かない事」が当たり前だ。
それにも関わらず、先の3つのように考えてしまうとどうなるか。
1つめ「私は上手く物事を成し遂げなくてはならない」に対して、上手くやれなかった場合には、「私は上手くできなかったから、能無しの役立たずだ」と考えがちだ。
2つめ「他人は私に対して優しくしてくれるべきである」に対して、例えば上司から冷遇された場合には、「私は上司に認められないから、自分にはもう何の価値もない」と極論に走る。
3つめ「私の身の回りの環境は快適でなくてはならない」に対して、快適でないどころか困難な事ばかりが起こると、「私の生活環境は思うように快適でないから、もう我慢できない」となる。困難を前提としていないから、耐えられないなどという心情になってしまう。
そして挙句に精神的に参ってしまうことになる。
では、どう対処すればいいのか~要するに考え方をまともにすること
先に述べた考えは、少々極端なことに気付く。考え方をまともにすることが肝要だ。
1つめの「私はうまく物事を成し遂げなくてはならない」と、2つめの「他人は私に対して優しくしてくれるべきである」に対してはこう考えると良い。
「私たちは皆、間違いだらけの欠陥品である。誰でもヘマをしたり、腹が立つと人の悪口も言ってしまうが、現実はそうしたものだ。誰も聖人君子ではない」。また、「私が他人に対して公正に親切にばかりできないように、他人もいつも自分にそのようにできる訳ではない。完璧な人などいないのだ。」
こう切り替えることができれば、自分の失敗や上司からの冷遇に対し、その時は多少がっかりしても精神的に参ってしまい、病んでしまうようなことにはならないだろう。
3つめの「私の生活環境は思うように快適でないから、もう我慢できない」に対しても、「私は日々困難な目に遭い、悲しみも苦しみもあるが、世の中とはそのようなものだろう。しかし、それはとりわけひどいことでもなく、私はそれに耐える力があるし、耐えていけるだろう」、と冷静に考えれば平安な日常を取り戻せる。
「自分は完璧だ」などと自分をあまり買い被ったりせずに、「人は間違いをする生き物であり、そうした人の集まりが会社や社会だ」と捉え、ありのままの自分と一歩一歩歩むことが必要だ。
詳しくは国分康孝先生の「負けない自分をつくる心理学」、『「自己発見」の心理学』などを参照ください。
(参考)国分康孝、J・デイムス著「負けない自分をつくる心理学」
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