コロナ禍をチャンスに挑戦する企業<2021・03・25>
中小企業とは変化対応業である
長野県企業のほとんどは中小企業であるが、実に逞しく時代の大波を乗り越えて今日を生きている。県内にはおよそ10万の事業所があるが99%は中小だ。
中小企業の強みは、小さいゆえのスピード感であり、変化に柔軟に対応できることから大企業に勝つ分野もある。
多くの中小企業の社長は「中小企業とは変化対応業」であると胸をはる。
新型コロナウイルスという大変化に見舞われた2020年
さて、昨今、世の中は新型コロナウイルスという大変化に見舞われており、IMF(国際通貨基金)の2021年1月時点での予測によると、2020年の日本経済は5.1%程度のマイナス成長となる見通しだ。
当然、長野県内中小企業の業績も厳しい。
当研究所の調査によると、昨年の緊急事態宣言の時期を中心に売り上げは対前年8割程度まで落ち、利益は8割を切った。
そのための対応として、行政からの雇用調整助成金などの補助金や銀行からの融資でなんとか経営を維持してきたというのが実態だ。
このように急激に売り上げが落ち、さらに先行きが不透明な時期には、先ずは手元の現金をしっかりと確保し「自らを守ること」が重要だ。
苦しい時にこそ変化対応業の面目躍如である
そして、身を守れたのなら、次には「攻め」なくてはならない。
変化の激しい時代、現状維持はイコール衰退となる可能性は大きくなっている。
変化対応業の中小企業としては、自社の強みを以てコロナで訪れた変化に対し何ができるのかを考え、事業にしていくことである。
当研究所では、県内企業を対象にしたアンケート「コロナ禍において自社で参入を検討している分野」についても尋ねた。
製造業で最も多かった回答が「医療機器等に関する医療分野」。次いで「感染症対応関連商品などの健康分野」となっている。
コロナという感染症への対応ゆえに医療・健康関連が多い。
自社の強みを転用して、コロナ対策製品開発事例
コロナという感染症に製造業が自社の強みで対応するためには、コロナに対する医療機器や、感染症対応機器に自社の強みの技術を転用することが理にかなっている。
それらの成果は現状一定の数になっており、長野県テクノ財団では事例集「見えないウイルスに立ち向かい長野県企業」をいう冊子で90程の製品をまとめている。
婦人服を製造している企業では、自社の縫製技術を活用しマスクや医療用ガウン製造に乗り出している。
オゾンはウイルスを不活性化させるため、光学技術を持つ企業ではオゾン発生装置を開発した。
また紫外線C波もウイルスを死滅させる効果があるため、従来食品メーカーでの作業用手袋の殺菌装置を造っていた企業では空気除菌装置を開発した。
こうして開発した製品が今や自社売り上げの8割に及んでいる企業もある。
コロナピンチをしっかりとチャンスに変えている中小企業の対応力に、長野県経済の底力を感じている次第である。
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