製造業の業況判断DI、3年ぶりにプラス水準へ
県内主要産業の天気図は製造業で改善
当研究所は、四半期ごとに長野県内の業界の景況感を調査するため、県内企業約160社を対象に「産業別四半期見通し調査」を実施しています。今回は4月調査の結果についてご紹介します。
本調査は、アンケート調査とヒアリング調査をもとに、県内産業の「現況」や「見通し」を天気マークで表しています。「晴れ」は「好調」、「薄日」は「順調」、「曇り」は「普通」、「小雨」は「低調」、「雨」は「不調」としています。
4-6月期の見通しを産業別にみると、製造業では国策により半導体を増産する中国向けが好調な「半導体製造装置」が「晴れ」の見通しとなっています。このほか「産業用機器」、「電子部品デバイス」、「プラスチック製品」が「薄日」の見通しです。
非製造業では、「大型小売」で「小雨」が続く一方、新型車効果が続く「自動車販売」と新設住宅が底堅く推移する「民間工事」が「薄日」となる見通しです。これまで薄日だった「ホテル・旅館」は、「真田丸」効果が剥落することから需要は例年並みに戻り「曇り」となる見通しです。全体としては、製造業を中心に晴れや薄日マークが増加し、明るさが見える見通しとなっています。
個社の先行きに対する見方は慎重
次に各企業の業況判断を示した「業況判断DI」(業況が「良い」と回答した企業割合と「悪い」と回答した企業割合の差)によると、全産業の1-3月期のDIが△0.5と16年10-12月期の△10.1から大きく改善しました。業種別では製造業のDIは6.8と2期連続で改善し、3年ぶりにプラス水準となりました。ただ、全産業の4-6月期の見通しは△8.4%と低下し、製造業・非製造業とも低下する慎重な見通しとなっています。産業天気図で示した業界見通しでは引き続き明るさが続きますが、企業の景況感では根強い警戒感があることがうかがえます。
先行きへの慎重姿勢の背景に不透明な海外動向
慎重な見通しの背景として海外動向が挙げられます。その1つが米国のトランプ政権の政策の行方です。1月調査と同様に、米国の政策が今後自社の経営にどのような影響を及ぼすのか、同時にアンケート調査を行いました。この結果によると、全体では「分からない」という回答が55.4%と半数を超えており、先行きに対する慎重姿勢の背景となっていることがうかがえます。また「マイナス」の影響があるという回答も14.0%と1月調査の12.4%に比べ増加しました。マイナスの影響があると回答した企業の具体的な判断項目では、「不透明感」という回答が59.1%と最も多くなりました。
企業の不透明感はトランプ大統領の政策に伴うものだけではありません。経済成長が鈍化している中国やEUの今後に影響を及ぼす欧州の政治情勢のほか、中東、朝鮮半島などでの地政学リスクなど不透明要因は山積しています。当面、こうした不透明感を拭い去ることは難しく、企業の慎重姿勢も続くものと思われます。
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