ストレスへの対処から考える課題解決の方法(2007.11.20)
ストレスへの対処は自分で解決できないことに対し援助を求めること
長野経済研究所の実務セミナーでストレスへの対応について川上真史(しんじ)さんという人事コンサルタントの方にお越しいただいた。この川上さんの話をもとにストレスへの対処から課題解決の方法を考えてみたい。
心理学でストレスへの対処のことをコーピングと言い、コーピングには、ストレスに対し自分で問題解決したり、誰かに援助を求めて問題解決しようとする「積極的コーピング」と、ストレスから逃げたり、あきらめて我慢したりするような「消極的コーピング」がある。
この消極的コーピングの方法をとると、ストレス問題が悪化してしまう傾向があるようだ。例えば、営業で難しいお客さんにどうしても会って話をしなければならないとき、会うのが怖いからといって、長い間、会わないまま、放置しておけばおくほど、ストレスがどんどん大きくなってきて、よけいに会うのが怖くなってしまった、などは多くの方が経験していると思う。酒で紛らわすも同じ。
そのため、ストレスに対しては、積極的コーピングが有効だ。自分で問題解決をするか誰かに援助を求めて解決するかという方法だ。しかし、自分で問題解決できればストレスとはもともとならず、解決できないからこそ、その状況がストレスとなっているのだ。したがって、「いかに他人に援助を求めながら問題を解決していくか」という方法がストレス解消において重要となる。
ところが、一般的に、援助を求めるのは消極的と考えられがちでなかなかできない。しかし、ストレスへの対処ということで考えれば、援助を求めることは積極的な行動で、自分で解決できないことに関しては、援助を求めている人のほうがストレスの問題が減っている。ストレスの原因となっている状況を整理し、そこで自分なりに解決できることは何か、自分で解決できないことはどこにどのような援助を求めることで解決するのか等をクリアにし、援助を求めることが大切だ。
ストレスのみならず企業連携も同じ発想-足りないものは外部から-
こうしたストレスへの対処法を聞いて、多くの会社との連携で新製品を開発したり新事業を立ち上げたりしているある企業の社長の言葉を思い出した。それは「中小企業の経営資源というのは非常に限られている。人、モノ、金、どれをとっても大企業には及びもつかない。限界がある中小企業の経営資源は、なければ借りるしかない」。そして、そのためには先ず、「自社の強みを知り、その強みで解決できることは何かを整理し、その上で自社で解決できないことは何で、どこに援助を求めることが必要かをクリアにし、その解決行動として連携を行うことが重要」というもの。正に中小企業にとっての経営とはストレス管理と同じなのだ。
中小企業にとって従来の親企業に仕事の多くを頼れなくなっている今、連携により他の企業なり大学なりの「他を使うこと」は次なるステップのために欠かせない方法と期待される。
最後に他を使うことで成就した例として紀元前の中国の戦国時代の戦略家孫臏(そんぴん)を思い出す。孫臏は兵法を共に学んだ同門の龐涓(ほうけん)によって免罪に陥れられ膝から下を刑で切り落とされ、歩けない動けないというハンディを持ったが、できないことを部下たちに代わってもらうことで馬稜の戦い(ばりょうのたたかい)で龐涓(ほうけん)の軍を制し名をあげた。
自分や自社に足りないことを嘆いたりするのではなく、足りないものは他を使うと発想することで課題解決できる問題というのはは飛躍的に広がるように思う。
(2007.11.20)
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