日本経済:採用を諦めた経営者たち~地方で進むディスカレッジド・エンプロイヤーの怪~
賃金上昇と採用抑制の構造
賃金上昇と採用抑制の構造
地方の労働市場では、人手不足感が強いにもかかわらず求人が伸びず、賃金上昇とも整合しない動きが顕在化している。本稿が提示する「ディスカレッジド・エンプロイヤー」は、募集コスト上昇や採用難の長期化を背景に、企業が採用努力そのものを弱める現象を捉える概念である。中小企業では、名目賃金の上昇に対し付加価値拡大が追いつかず、人件費原資の不足が採用抑制を招いている。また、賃上げや条件改善が十分でない企業も多く、採用基準の硬直性や地域特性などが複合的に作用し、求人難が構造化している。
自発的失業の増加と地域経済への示唆
自発的失業の増加と地域経済への示唆
採用抑制は労働者の行動変化にも波及しており、日本版Q/LD比率(=自己都合離職者数/非自発的な離職者数)の上昇が示すように、現場の疲弊や将来性への不信が自発的離職を促している面があるのではないか(図表)。企業の限界生産性の低さは組織のサステナビリティを脅かし、地域経済の供給基盤自体が弱体化しつつあることを示唆している。今後必要なのは、賃上げのみならず、勤務体系・教育訓練・職場環境を含めた就労条件の総合的な再設計と、省力化投資・高付加価値化によるビジネスモデルの転換である(詳細はレポートをご覧ください)。
(図表)日本版Q/LD比率と雇用人員判断D.I.