土壌分析を刷新する~(株) Henry Monitor <2026.02.25>

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最終更新日: 2026年2月25日

「ものづくり大賞NAGANO2025」で「きらりと光る技術賞」を受賞

 (株)Henry Monitor(諏訪市)は、2020年6月に創業したベンチャー企業である。親会社である株式会社小松精機工作所が2006年から研究開発を重ねてきた磁界式センサー技術を社会実装するために設立された企業であり、精密加工の蓄積と先端センシングを融合した独自の技術基盤を有する。

 磁界式センサーとは、コイルにより複数周波数の磁界を発生させ、対象物から得られる微細な応答を電気信号として取得する仕組みである。同社は当該信号をAIで解析し、従来は把握に時間と手間を要した状態を非破壊かつ短時間で可視化する技術を確立した。

 この基盤技術を応用した土壌成分分析装置が、革新性と市場性の両面で高く評価され、「ものづくり大賞NAGANO2025」の「きらりと光る技術賞」を受賞した。

革新的な分析機能 ― “15秒でわかる土の力”

 受賞対象の土壌成分分析装置は、畑の土にセンサーを置くだけで15〜20秒ほどで分析が完了し、CEC(保肥力)に加え、カルシウム、マグネシウム、カリウムといった主要養分を測定できる。

 現場に持ち込んで直接測定するハンディ型と、採取土壌を室内で測る卓上型の2タイプを備え、圃場から研究用途まで幅広い運用に対応する。

 薬品で成分を抽出し結果が出るまで数日〜1週間を要した従来法と異なり、本装置は薬液不使用でその場測定が可能である。

 例えば圃場内で12点を測定する場合でも、移動を含め10分程度で作業を完了しうる。廃液処理が不要であることは環境負荷の低減に資するのみならず、ランニングコストの抑制にも直結する。

「畑の見える化」で農業を変える ― ピンポイント施肥の実現

 従来の圃場診断は、数か所の土を採取して混合し、平均値で判断する手法が一般的であった。しかし実際の圃場には、日照・排水・土壌構造などの差異に起因する成分のムラが存在する。本装置は圃場の最適地点を「点で測る」ことにより、このムラを詳細に把握できる。

 測定結果は成分値や濃淡として可視化され、土壌マップとして出力できる。これにより、養分が不足する箇所へピンポイントに肥料を施すといった適正施肥が実現し、肥料コストの削減、生育ムラの改善、収量・品質の安定化に資する。結果をその場で確認できるため、施肥計画を適期に立案できる点も現場の重要なメリットである。

 広がる応用可能性 ― 農業DXから金属材料評価まで

 短時間・低負担で大量のデータを蓄積できる点は、農業DXの推進にとって極めて有用である。蓄積されたデータは、気候変動下における作付け判断、環境負荷の低減、持続可能な農業の実現など、多様な場面で活用しうる。

 さらに同社は、同一のセンシング技術を金属材料の非破壊評価へも展開しており、ものづくり現場における品質保証や工程管理の高度化に寄与する可能性を有している。

 このように、同社の技術は将来性が高く、農業分野にとどまらず幅広い産業に新たな価値をもたらすものとして期待される。

(資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2026年2月21日放送)

 

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