ワンタッチ手巻き寿司用海苔を通じて、世界に笑顔を広めたい

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最終更新日: 2025年11月10日

 

 (株)藤正は、1958年創業の海苔の卸売・加工を専門とする企業です。

 江戸時代初期には、冬は作物が育たず仕事のない諏訪の若者の多くが、労働力が不足していた東京の浅草に海苔の収穫の丁稚奉公に行っていたといわれます。今でも浅草の海苔業者の3分の2が諏訪出身と言われるほど「海苔」と「諏訪」には深い関係があります。

 同社は、早くから国内の家庭向けの海苔の需要減少を見込み、コンビニエンスストアや回転ずしなど業務用を中心に展開してきました。また、80年代に海外で日本食ブームが広がったのを機に、海苔の海外需要の掘り起こしにも取り組みました。海外でおにぎりが注目されるようになったのに合わせて、テイクアウトで食べられる冷凍おにぎり用包装資材に関する特許を93年に取得しました。これを機に、テイクアウト用の海苔や包装資材の開発も進めてきました。

独自技術の差別化を目指して特許を取得

 同社のイチ押しは、手巻き寿司用の海苔と包装フィルムがセットになったワンタッチ手巻き寿司です。仕組みは下の写真のとおりで、ワンタッチで手巻き寿司を開封できるのが特長です。権利化と差別化を図るため2011年に特許も取得しています。丸い筒形の手巻き寿司に比べて、開封が簡単な上、寿司ネタがよく見えるため、見栄えの良い華やかな手巻き寿司が提供できます。さらに製造過程でシャリが潰れることなく、より柔らかな食感のまま保存もできます。

    

海外の寿司専門店でも注目

 18年に、ニューヨークのマンハッタンのテイクアウト寿司専門店で同社の海苔と包装資材が初めて採用され、これを機に海外市場の開拓を強化しました。ブラジルの高級スーパー「ポンデアスーカ」でも同社製品を用いたワンタッチ手巻き寿司が人気となるなど、現在では海外売り上げが25%を占めるまでになりました

海苔の安定した調達を目指して

 一方で、海苔業界は国内生産量の減少や価格上昇といった構造的な課題を抱えています。そこで、早くから中国産や韓国産の海苔を調達するため独自の輸入ルートを確立してきました。輸入海苔を扱うには、厳しい国内規制をクリアする必要があります。そのため、取り扱いできる海苔卸売業者は全国で十数社にとどまり、同社はそのうちの1社として認められています。中国での合弁会社設立などを通じて調達基盤を固めるとともに、海外市場への直接卸売という戦略をとりながら自社ルートにより世界へ流通させています。

 「当社が提供する海苔で巻いた手巻き寿司を食べてもらって、世界の人たちの笑顔を増やしたい」と、藤森修一社長は熱い思いを語ってくれました。

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              加工機械もメーカーと協力して開発しました

株式会社藤正

 

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