設計・製造・評価を効率的に行う多機能試作開発ライン
信光工業(株)は、1918年創業から100年以上にわたってさまざまな部品のめっき処理を手掛けてきた企業です。同社の事業は、主力であるめっき技術を用いた表面処理事業に加えて、除菌に効果がある電解次亜塩素酸水の製造を手掛ける環境事業、多種多様なキノコを栽培しているキノコ事業の3本柱から成ります。
主力の表面処理事業は、機能めっき処理を得意としています。機能めっきは、金属などの総菜の表面にめっき膜を形成させて、耐摩耗性や誘電性の向上など、元の素材になかった機能を持たせることができます。また、軽量化や耐熱性といった機能を持たせることもでき、さまざまな用途に対応できます。同社で加工された部品は半導体製造装置や自動車部品、光学部品、電子部品など幅広い分野で使われています。
独自の多機能試作開発ライン
イチ押しは、多様な素材の前処理や各種機能めっきに対応できる多機能試作開発ラインです。試作品の設計・製造・評価を効率的に行うそれぞれの設備を1カ所に集約させ、効率的に試作ができるようにした同社独自の設備です。例えば、1つの素材の表面上にニッケルや金の2種類の金属被膜をめっきし、誘電性・電磁波遮断などの2つの機能を持たせたいといった要望に対して、この開発ラインにより試作品の製作・評価が迅速に行えるとともに、開発期間を短縮できます。
また、1カ所で効率的に試作できるため、試作品の製作回数を減らすことができ、開発コストの削減にもつながります。さらに、本社内にある評価・分析室には、膜厚管理から液管理・解析・開発に至るまでさまざまな分析装置を揃えていることから、試作品をすぐに評価・分析でき、品質向上に反映させることができます。

サイズは、最大300×300×250mmまで試作が可能です。めっきする素材は、エンプラ・セラミックス・特殊金属等さまざま。また、ニッケル、銅、金、銀、パラジウム等による各種めっき処理による試作も可能です。
持続可能な環境に優しい会社を目指して
このほか、同社の環境事業部では、キノコ事業の農場から排出される廃菌床と地域で排出される廃プラを混合したペレットの開発にも取り組んでいます。廃菌床の処理問題は、同社だけでなく、他の多くのキノコ事業者も苦慮している問題です。このペレットは、石炭などと同等の燃焼力を有しながらも、燃焼時のCO2排出量は少なく、原料に塩化ビニルなどを含有していないことから、ダイオキシンや塩素ガスなどの有害ガスが発生しないというメリットがあります。将来的には同社のバイオマスボイラーで活用する計画です。
「これからも、古くからあるめっき技術を絶え間なく進化させながら、環境資源循環技術で地域と持続可能な自然環境の保全に貢献していきたい」と荒井和章常務取締役は思いを語ってくれました。

複雑な形状にも対応できます
産業調査
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