不純物を極限まで取り除く(株)キッツマイクロフィルター<2024・07・27>
 

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最終更新日: 2024年7月27日

中空糸から自社で製造

  (株)キッツマイクロフィルターは、茅野市に本社・生産拠点を置く企業で、中空糸膜フィルターを開発、製造、販売している。

 同社は、浄水・ろ過の要である中空糸も開発、製造しており、それを組み込んだものが中空糸膜フィルターとなる。

 独自開発した中空糸の製造方法は、熱で溶かした樹脂に空気を送り、空洞を形成しながら冷却することでストロー状の糸を形成する。

 クリーン度を高めるため、最後に薬液で徹底的に洗浄を行う。長い物では、1週間も洗浄に時間をかけることもある。

 糸の表面は、ミクロン単位の微細な穴が無数に形づくられる多孔体となっている。0.8mmぐらいの太さの中空糸を高密度な束にし、筒状のケースにセッティングすれば、中空糸膜フィルターができあがる。

 ろ過の仕組みは、中空糸の外側から内側に液体が流れ込み、その際、多孔体を通り抜けることができない異物や細菌、ウイルスなどが捕捉され、ろ過された純水が外に送り出される。

屋台生産方式での組み立て

 台所用洗浄機の組み立ては、機械化されたラインもあるが、手作りで行われているラインもある。

 U字型に設置された設備の中で、完成まで担当者が一人でU字型にそって部材を組み上げていく。

 いわゆる屋台生産方式であり、品質と併せ生産効率も高める仕掛けとなっている。

 U字ラインの頭上には「1分44秒」と、1つを組み上げる目標時間が掲げられている。1日に265個作ることが求められているということだ。

 担当者は手際よく、体をぐるっと回転させながら作業を進めていき、1分44秒後には完成品がしっかりと出来上がる。

 手作りの課程では、課題も発見され、課題を1つ1つ潰しながら、機械化の方法も探っている。

 人の手での組み立ては行っているものの、安定してきたら機械化に移行していく。

 このようにして、唯一無二となる高品質な製品を安定的に大量に作り上げていくのが当社のものづくりの考え方ということである。

広い中空糸膜フィルターの使途

 中空糸膜フィルターを搭載した機器は、(1)飲料用の浄水器、(2)工業用精密フィルター、(3)医療用向け浄水器など多岐にわたる。

(1) 卓上型浄水器では、ポータブルなフィルターによりミネラル分は残しながら細菌やウイルスを99.999%除去する性能を持っている。ろ過能力は500リットルと家庭用の風呂2杯分が可能だ。災害時には、風呂の残り湯が飲料水として利用できる。

(2) 半導体製造で使われる高純度な薬品の製造においては、微細な不純物、異物、ゲル状物質を除去する必要がある。同社のフィルターは、特殊な処理によって付着した微粒子や金属イオンがほとんど溶出しないクリーンな中空糸膜を使用しているため、薬液を高純度にろ過することができる。

(3) 医療機器洗浄用の純水を製造する浄水器は、ろ過精度0.24μmの中空糸膜を使っており、水中の菌や異物を確実に除去し、安全な洗浄用純水を作り上げることができる。

高まるフィルター需要

 今後、世界の人口増加を支えるためには、清潔な飲料水が大量に必要となる。

 また、精密な機器需要も高まり、それらに伴う浄水需要の高まりも必須だ。

 国内でも清潔な水が健康に欠かせないという認識が高まっており、フィルターの需要はここでも大いに高まっていくだろう。

 番組「明日を造れ!ものづくりナガノ」のスタジオでは、実際に青い墨汁を溶かした水道水を携帯用中空糸膜フィルターでろ過し飲んでみた。青い水が瞬く間に透明に変わり、99.9999%の不純物を除去するという性能ゆえに、逆に雑味の無い美味しい水に代わっていた。

 珈琲や水割り用の水にもいいかもしれない。


資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2024年7月27日放送)

 


 

 

 

 

 

 

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