「捨てればゴミ、生かせば資源」株式会社日本ウオルナット<2024・04・21>

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最終更新日: 2024年4月21日

クルミ殻などの再生利用材を製品に

 (株)日本ウオルナット(長和町)は、クルミの殻などの再生利用を事業としており、過去にはクルミの殻を使ったスタッドレスタイヤが大ヒットした。

 現在では、クルミの殻のほか、杏の種や桃の種、とうもろこしの芯など4種の原料から、スタッドレスタイヤへの配合を始め、熱硬化性樹脂等の研磨・研掃材、樹脂成型品・合板等の補充剤・接着剤など工業製品から化粧品まで、幅広い用途に合わせて高品質の製品を製造している。

幅広い用途に合わせ高品質の製品を提供

 原料は年間1,000トン以上を使用するため、ほとんどが海外からの輸入品となっている。

 工場に運びこまれた原料は、まず異物除去が行われる。高品質の製品を作るためには、100%に近い異物除去が欠かない。クルミの殻や桃の種などには、果肉や芯が残っていたり、砕く過程で異物が混入することが一般的だからだ。それを1つ1つ手作業で取り除いていく。素人には異物かどうか判断に迷うところだが、熟練した社員の目は異物を見逃さない。

 混入した金属は、高性能な機械で取り除いている。

 全ての異物を除去し終わった後、粉砕の工程に入る。粉砕は粗粉砕と微粉砕の二段階で行われ、その後、ふるいがけがされ、純度100%に近い粉粒体が完成する。

 完成品ではあるものの、植物性であるために大きさや水分量にはバラつきが生ずる。そのため、最終段階では、検査室で粒の大きさ、水分量の検査が行われ、一定の基準を満たした製品だけが出荷される。

工業製品から化粧品まで広範な使途範囲

 粉粒体となった製品は、スタッドレスタイヤにゴムなどと合わせ配合されたり、電子部品のバリ取りや研磨に使用される。トランペットやトロンボーンなどの金管楽器や金属の眼鏡フレームの表面仕上げにも使われている。古米を使っていた日本郵船の船のターボチャージャーの洗浄も、同社のクルミ殻に置き換えられている。

 そして、工業製品ばかりではなく、人も磨く。洗顔フォームに配合され、肌をツルツルに仕上げている。

 とうもろこしの芯は、面白い使われ方がされている。それは吸湿効果が高いため、大豆の表面を磨く研磨材としてだ。これにより汚れを取り除くと同時に、見た目も綺麗に仕上げることができる。農産物の多くは見た目で等級が上がる事が多いため、重要な工程となっている。

 もともとは廃棄されていたクルミ殻などを原料とした多くの製品を見ると、「捨てればゴミ、生かせば資源」という言葉が思い起こされる。

自社農園で新たな夢の実現を

 同社の周りには、クルミの木が植えられた農園がある。

 12年程前に米国から苗木を輸入し、育て上げたものだ。品種はチャンドラーと呼ばれるもので、150本の木が植えられている。2年前から実をつけ始めており、商品化も果たしている。当地のクルミより甘さが強いのが特徴だ。いずれは長和町の特産品になればと改良を重ねている。また、このクルミから抽出した油を薬品関係に使ったり、育った木を家具に加工するなど夢は広がる。

 そして、もうひとつの夢が、この農園を「日本一きれいな農園と庭」にすることだ。社員の憩いの場となると同時に、地域の憩いの場となり、さらには観光の拠点として「日本ウオルナット」や「長和町」の情報発信拠点となることだ。

 「地域や社会に貢献する仕事をすることで、社員に働きがいを持ってほしい」と羽田義久社長は語る。

 環境や人に優しい事業は、社員に働きがいをもたらすだろうし、「働きがい」は会社を発展させる原動力となる。


(資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2024年4月21日放送)

 


 

 

 

 

 

 

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