2年連続で高い賃上げが見込まれる<2024.4.3>

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最終更新日: 2024年4月3日

 

2024年の賃上げ率は33年ぶりの5%超え

 日本労働組合総連合会(連合)が3月22日に公表した2024年春闘の第2回回答集計によると、大企業を中心とした賃上げ率は5.25%と、1991年の5.66%以来、33年ぶりの5%超えとなる見通しです(図表1)。
 昨年の賃上げ率も3.58%とおよそ30年ぶりの高水準であったことから、2年連続で大幅な賃上となる見込みです。

図表1 賃上げ率の推移

  

長野県でも高い賃上げ率が見込まれる

 2023年の長野県の賃上げ率は2.93%と、1997年の3.0%以来の高水準で全国と同様の動きとなりました。
 2024年の長野県内企業の賃上げ状況を弊所の「最近の経済環境の変化に関する調査(23年12月~24年1月実施)」でみてみると、24年度の賃上げ見通しについて、「実施予定」が50.2%、「検討している」が33.0%となりました。これらの企業に賃上げ率(定期昇給+ベースアップ)を尋ねると図表2のとおり、「3~4%未満」が29.0%と最も多くなりました。「4%以上(「4~5%未満」+「5~6%未満」+「6%以上」)」も27.8%と、3%を超える見通しの企業が6割弱となり、県内でも2年連続の高い賃上げが見込まれます。

図表2 24年度の県内企業の賃上げ率見通し(定期昇給+ベースアップ)

 

賃金上昇から消費の拡大に期待

 およそ30 年間なかった規模の賃上げが2年連続で行われる背景には、大企業を中心に企業業績が好調な点と、企業が構造的な人手不足を解消するため「人材確保のために賃上げをする」という点が挙げられます。
同業他社が大幅な賃上げをする中で自社が賃上げを見送った場合、働く人々から選ばれない企業になる可能性があり、採用不振や離職リスク増加への不安から、今後も県内企業の賃上げ率は高まっていくことが予想されます。
 足元では実質賃金がマイナスで推移しており、消費は弱含んでいます。消費が拡大していくためには物価上昇を上回る賃金上昇により、実質賃金がプラスに転じていく必要があります。今後は、実質賃金の増加が消費の増加につながり、消費の増加が企業収益の増加につながり、企業収益の増加が実質賃金の増加につながるという、景気の好循環が生まれるかが注目されます。

※弊所では、賃上げ状況等に関する調査を現在実施しております。公表予定は4月下旬となっておりますので、ぜひ、ご覧ください。

(2024.4.3) 

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