ナノレベルでレンズを磨く・つくる-株式会社永田製作所<2024・03・31>

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最終更新日: 2024年3月29日

Made in Naganoのレンズの高度化に貢献

 (株)永田製作所(岡谷市)は、光学レンズの製造装置や専用の治工具を製造する企業で、特に球面レンズを研磨する治工具類では国内で7割を超えるシェアを持つ。

 長野県内に立地している光学機械器具・レンズ製造業に対し最適な製造装置や専用治工具類を提供することで、「Made in Nagano」の製品高度化にも貢献している。

 2023年に長野県工業技術総合センターなどと共同で開発した革新的なレンズ研磨技術が評価され、今年度の「NAGANOものづくりエクセレンス2023」に認定された。

エクセレンス認定の「レンズ研磨機用振動吸収ダンパー」

 「レンズ研磨機用振動吸収ダンパー」とは、レンズ研磨時に発生する振動を吸収する機能を持った治工具だ。その原理は、振動エネルギーをダンパー内部で熱エネルギーに変換し、その熱を本体表面より放熱することで振動を抑え、高精度な球面加工を実現する。

 これにより高透過率レンズ用のデリケートな軟硝材に対しても、短時間で正確に、且つ歩留まりよく加工することが可能となる。高透過率レンズは、セキュリティ、自動車、航空・宇宙など高撮像性能を必要とする分野で必要とされており、今後の需要拡大が見込まれている。

 また、同ダンパーによる歩留まり向上や加工時間の短縮は、消費電力や廃棄物の削減、省資源化など環境負荷低減にもつながっている。

富士山にリンゴ1つの誤差も許さない精度

 「レンズ研磨機用振動吸収ダンパー」を始め、同社で製造された装置や治工具を使って加工された球面レンズは究極の精度を誇る。

 その精度は30ナノ(10億分の1)メートル以下に抑えられている。それは、レンズの大きさを富士山に例えると、リンゴ1つ分のふくらみがあっても不良品になるほど厳しい精度ということになる。

 これを可能にしているのが自社の製品開発・検査体制である。同社では、商品開発時の実験検証やデータ測定を完成域に至るまで繰り返し行い、その性能評価を自社で完結できる体制を完備している。

一貫生産で顧客ニーズに応える

 さらに同社は、装置や専用の治工具を開発から設計、製造、組み立てまで一貫生産できる体制も強みとしている。一貫生産体制であれば、低コストで顧客の多様なニーズに臨機応変に応える事ができる。

 国内4拠点、海外3拠点で収集した多様な顧客ニーズに対し、オーダーメイドの製造装置や治工具を製造できることから、顧客はカメラメーカーから半導体関連まで広範な分野に及ぶ。

 多品種少量でのオーダーメイド製品が作れることが、大競争時代の生き残りにつながっている。

モノづくりは人づくり

 「モノづくりは人づくり」と言われるように、技術力が高い企業は例外なく人材育成には力を入れている。

 同社にも「ナガタテクニカルスクール」という社内スクールがある。ここでは、国家技能検定試験を目標として、社内の技能検定員、職業訓練指導員、一級技能士の資格を持つ社員らによる研修・実習が行われ、多くの国家技能士を輩出している。この国家技能士のスペックを基盤とし、その上に古くから培われてきた自社独自の技能の伝承が行われている。

 永田製作所の70年にわたる技能の集積こそが、他社から模倣されない強みにもなっている。


(資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2024年3月31日放送)

 


 

 

 

 

 

 

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