小回りの利く鋳物工場をシステムで実現-株式会社高和製作所<2024・02・18>

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最終更新日: 2024年2月18日

ものづくり大賞NAGANO2023「きらりと光る技術賞」を受賞

 (株)高和製作所(長野市、代表:高澤和幹氏)は、「小回りの利く鋳物工場」を標榜し、デジタル技術を駆使することで鋳物工場としては珍しい多品種少量生産を得意としている。

 伝統的な鋳物加工に最先端のデジタル技術を活用したことで生産性が飛躍的に向上した。この生産システムが評価され、2023年度の「ものづくり大賞NAGANO」では、「きらりと光る技術賞」を受賞した。

多品種少量生産を可能にする「高和製作所生産プロセス統括管理システム」

 「小回りの利く鋳物工場」の柱となっているのが、独自開発をした「高和製作所生産プロセス統括管理システム」(以下、統括管理システム)だ。同システムは、受注から生産、検査に至る各工程の情報を自動収集・見える化するシステムである。

 例えば、受注工程においては、顧客からの注文がシステムに入力され、工程計画が作成され、製造ラインに作業指示書が配布される。造型工程では、溶鉄の搬送量から造型機の稼働状況を割り出し、効率的な生産が出来ているかが指標とともにリアルタイムに明示される。仕上げ工程では、日々の仕上量が計算され、指示量と比較した達成度が示される。

 このように工程管理と生産データを紐づけし、リアルタイムに見える化している鋳物工場は少ない。

 同社では、9,000点もの製品毎の木型や金型を収納しているが、このように日々の受注・出荷状況や生産ラインの状況をリアルタイムで把握できることで多品種少量生産を可能にしている。

 また、統括管理システムにより不良製品の発生や設備のトラブルをいち早く察知することで、未然防止の対応がとれるようになっている。

 各部署での情報の共有化は納期短縮を可能にし、さらに全てのデータが明らかにされ、製造工程のトレーサビリティを証明できることから、新たな取引先開拓にもつながっている。

資源循環型社会の先頭を走る鋳物砂のリサイクルシステム

 鋳物には砂型の存在が欠かせない。砂型に溶けた鉄を流し込むことで鋳物ができあがる。溶けた鉄の融点は約1,500度だが、砂型の砂の融点は1,700度のため、溶けた鉄により燃えたり、崩れたりすることはない。

 砂型は、鋳物用の砂と石炭粉、ベントナイト、デンプン粉におよそ4%の水を加え、大型のミキサーで練って作られるが、季節や天候により砂の状態が異なるため、水分量や収縮率等の品質管理が欠かせない。この調整・管理も統括管理システムが作動し、最適解をはじきだしている。

 同社では、この砂型で使用した砂のほとんどをリサイクルしている。1日に140トン、年間3万トンの砂を使用しているが、工場内で循環させ再利用するシステムを導入しているため、その99%はリサイクルされている。

 資源循環は時代の要請だが、鋳物砂はその先頭を走っていると言える。

長野県SDGs推進企業登録を機にさらなる働きやすい職場に

 2021年1月に長野県SDGs推進企業への登録を行い、取り組みを宣言したことで、女性社員比率が20年の8%から23年には10%に向上した。SDGsのゴールの年である30年には25%まで引き上げる目標を掲げている。

 人材定着について高澤社長は「賃上げ実施、公平な評価制度などへの改正は当然のことながら、福利厚生制度の充実、全社員との面談や相談による意見の汲み取り、慰安旅行や懇親会など風通しの良い職場づくりに専念していきたい」と語っている。

 こうした働きかけが奏功し、社員数はコロナ前と比較し13%増加している。

 若者が働きたいと集まる鋳物工場となっていく期待が膨らむ。


(資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2024年2月18日放送)

 


 

 

 

 

 

 

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