2024年の経済見通し<2024.1.12>

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最終更新日: 2024年1月12日

不安が募る中での1年の始まり

 2024年は年明け早々、能登半島を中心とした大きな地震災害や羽田空港での飛行機衝突事故など大変痛ましい出来事が続き、不安が募る中での1年の始まりとなりました。そうした中、今年の経済の行方を気にかけておられる方も多いと思います。

日本経済は内需を中心に緩やかな回復が続く

 まず、今年の日本経済については、個人消費や設備投資などの内需を中心に緩やかな回復が続くとみられます。個人消費は、物価高の影響により消費マインドが下押しされる懸念がありますが、旅行や外食といったサービス消費が回復するとともに、賃上げの継続が予想されることから、総じて底堅く推移する見通しです。設備投資は、海外経済の減速による影響はあるものの、人手不足に対応するための自動化・省人化投資などが下支えし、緩やかな増加が見込まれます。
 こうした動きを受け、主要な民間調査機関各社が23年12月に公表した「2024年度日本経済見通し」によると、実質経済成長率は概ね+0.6~1.3%を予測する機関が多く、各社の平均では+1.0%程度となっています。コロナ禍からの回復がみられた23年度の実質経済成長率は+1.6%程度とみられており、それよりは鈍化するもののプラスでの推移が見込まれます。
 ただ、物価高に伴う消費の冷え込みや人手不足の影響、世界経済の一段の成長鈍化、そして海外の軍事衝突のさらなる混迷化などが景気の主な下振れリスクとして挙げられ、これらの動向を注意深くみていく必要があります。

長野県内の経済も緩やかな持ち直し

 長野県内の経済も全国と同様、力強さは欠くものの内需を中心に緩やかな持ち直しが見込まれます。ここからは、具体的な業種ごとの見通しについて、長野経済研究所の「2024年長野県主要業種の展望調査」の中からいくつかご紹介したいと思います。
 まず、けん引役として期待される個人消費では、百貨店やスーパーマーケットなどの「大型小売」が食料品や衣料品の底堅い需要に加え、コロナ後の客数の増加や仕入価格上昇分の価格転嫁の進展などにより順調に推移する見通しです。「観光」関連でも国内外からの旅行客が増え、鉄道・バス・タクシーなどの旅客やホテル・旅館など宿泊施設の利用は増加が見込まれます。ただ、需要の増加に対して人手の確保が追い付いていない企業や事業所も多く、十分なサービスが供給できずに顧客を取り逃がしてしまうといった事業機会の損失も懸念されます。
 次に「生産用機械製造」や「電子部品・デバイス製造」は、自動車関連やIT関連の需要が持ち直し、景況感はやや上向く見通しです。「自動車部品製造」も、問題となっていた半導体不足の緩和が進んだことで完成車メーカーの増産が続いており、受注の増加を見込んでいます。
 これらの結果、当研究所の推計による長野県の実質経済成長率は、23年度が+1.7%、24年度が+0.6%になる見通しです。

北陸新幹線が福井県敦賀まで延伸開業

 2024年に予定されている主な経済トピックでは、まず3月に北陸新幹線が福井県の敦賀まで延伸開業します。県内では北陸地域からの旅行客の取り込みなどが期待されますが、今回の地震災害を踏まえ、新幹線を活用した新たな交流の促進が被災地の復興支援につながることを願います。
 また、7月には20年ぶりに紙幣のデザインが一新され、新紙幣が発行されます。キャッシュレス化が進み現金を使う機会が減っている中ですが、真新しい紙幣を使おうという消費者の心理がわずかでも景気にプラスになればと思います。
 24年が、痛ましい出来事を乗り越え、力強く飛躍する年になるよう願いたいと思います。

 

2024年1月12日放送 SBCラジオ「Jのコラム」より

 

 

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