ガラスや陶器と融合した木曽漆器の「Lashiku」シリーズ

印刷

最終更新日: 2024年1月10日

  1949年創業の(株)本山漆器店は、塩尻市木曽平沢に本社を置き、漆器・漆塗家具の製造・販売を手掛けています。
 当社は、400年の歴史を持つ木曽漆器の卓越した技術を守りながら数多くの製品を生み出すとともに、和家具・和食器(漆器・陶器・鉄器・ガラス器)のトータルコーディネーターとして、 魅力あふれる漆器製品を提供しています。 

金属食器に漆塗りを施す技術を開発

 当社のイチ押しは、ガラスや陶器、ステンレスなどでできた食器に漆を施したオリジナルブランド「Lashiku」シリーズです。このブランド名には、当社の製品を活用することで「自分『らしく』食卓をコーディネートして欲しい」という思いが込められています。
 開発のきっかけは、外国人観光客が多く宿泊する東京都内のホテルから、「金属食器に漆を塗り付けられないか」という要望を聞いたことでした。2014年に金属食器に漆塗りを施す技術を開発し、その後も研究と改良を重ね、技術の活用範囲をガラスや陶器にまで広げました。現在ではディナープレートやワイングラス、テーブルスプーンに漆を塗り付け、ディナーセットとして提供しています。

上品で和を感じさせる仕上がりに

 同シリーズの製造は、サンドブラスト、漆塗り、自然乾燥、焼き付けの4つの工程を経て完成に至ります。
 最初の工程であるサンドブラストでは、ガラスやステンレスに砂を吹き付けて表面を凸凹に加工することで表面積を増やし、塗装の密着性を高めています。次に、漆の塗りを施した後、最適な温度と湿度を保ちながら、漆が手に付かない程度になるまで数日間かけて自然乾燥を行います。最後に専用の機械を使って焼き付けを行い、ガラスやステンレスと漆を密着させて完成となります。
 完成した製品は、漆が深みのある色を放ち、上品で和を感じさせる仕上がりとなっています。従来の漆器に比べ使い勝手が良く、若い世代にも親しみやすいデザインのため、ホテルや飲食店を中心に採用が増えているほか、一般の顧客の人気も高まっています。同シリーズは本社併設の店舗のほか、当社のオンラインショップから購入することができます。

地域の漆器産業を盛り上げたい

 塩尻市の木曽平沢地区には、約100軒の木曽漆器の店が立ち並んでいます。しかし、生活様式の変化などで出荷額はピーク時の3分の1ほどに落ち込み、一時は漆器産業に関わる地区住民が8割を超えていましたが、現在では5割を下回っています。
 こうした中で当社は、新しい漆器製品の開発を通して同地区の漆器産業を盛り上げていきたいと考えています。「今後も、伝統を大切にしながらお客さまの生活に彩りを添えることができるような漆器を開発していくとともに、当社の製品を通して地域の活性化に貢献していきたい」と本山司専務は語ってくれました。
 

  

                                        

 塩尻市木曽平沢にある(株)本山漆器店の本店。1949年の創業以来、改良と研究を重ねながら数多くの漆器を産み出してきました

           

 (左)Lashikuシリーズの「吟醸高月グラス」(朱・黒有)。ワイングラスに漆を施し、和を感じさせる作りに仕上げた(右)Lashikuシリーズ「テーブルスプーン粋」(朱・黒有)と「ディナープレート月影」(朱・黒有)

 株式会社本山漆器店

 

このページに関するお問い合わせ

産業調査

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233